がん患者は新型コロナ感染症に対して脆弱

論文、Cancer Discov. 2020 Apr 28を読む。多施設共同研究(武漢にある14の病院の患者が対象)であり、年齢が一致する新型コロナ感染症(COVID-19)に罹患した105人の癌患者と536人の非癌患者を対象とした研究である。以下のように書かれている。
COVID-19のがん患者がすべての重篤な転帰においてリスクが高いことを示しました。血液がん、肺がん、または転移性がん(IV期)の患者は、重篤なイベントの頻度が最も高かった。非転移性がんの患者は、がんのない患者で観察されたものと同様の重篤な状態の頻度を経験しました。手術を受けた患者は、重篤なイベントのリスクが高かった、一方、放射線療法のみを受けた患者は、がんのない患者と比較した場合、重篤な事象に有意差を示さなかった。
外照射で治療した身としてはちょっと安心できる研究だ。

コロナ感染死、把握漏れも

肺炎死のなかには新型コロナ感染症が原因の場合があるのではないかということはいわれていてそれを明確に否定することはできないと思っていた。
twitter では「超過死亡」に関しては随分まえからいわれていて、やっと日経で報道された。
新型コロナ:コロナ感染死、把握漏れも 「超過死亡」200人以上か:日本経済新聞

こう書かれている。
新型コロナウイルスの感染が拡大した2月中旬から3月までに肺炎などの死亡者が東京23区内で200人以上増えた可能性がある。同じ期間に感染確認された死亡数は都全体で計16人。PCR検査で感染を確認されていないケースが潜み、把握漏れの恐れがある。
超過死亡は次のように説明されている。
超過死亡 感染症が流行した一定の期間の死亡数が、過去の平均的な水準をどれだけ上回っているか示す指標。
日本における発表は迅速ではなく、記事は以下の文で終わっている。
第2波に備え、検査の拡充や感染症に応じた医療態勢の強化だけでなく、データの公開が不可欠。横浜市立大学の五十嵐中・准教授(医療経済)は「迅速にデータを収集・公開し、民間とも連携し対策に役立ててほしい」と訴える。
……以下投稿後に追記
国立感染症研究所 感染症疫学センターのインフルエンザ関連死亡迅速把握システムについてのQ&Aにはこう書かれている。
新型コロナウイルス感染症の流行により、超過死亡が発生する可能性はあります。しかし本事業は毎年冬に流行するインフルエンザを想定して長年にわたって運用されているシステムです。本事業で新型コロナウイルス感染症による超過死亡への影響を評価することはできません。

現代の姨捨山というべきスウェーデンの事情

欧州の中で学校の休校はせず、ロックダウンもしていない独特の新型コロナウイルス感染症に対する対策をとっているスウェーデンの事情が書かれた記事を読んだ。
スウェーデン新型コロナ「ソフト対策」の実態。現地の日本人医師はこう例証する | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

4 にはこう書かれている。
ICUで治療してもらえるのは、年齢相応に元気な80歳以下の患者さんです。こちらの表を見ても、80歳以上のICU 治療者の数は極端に少ないですよね。
「80歳以下であっても、余病があれば80歳以上と同じように扱われます」という記述があり、スウェーデンでは新型コロナ感染症を発症し、重症化した場合、若くても余病があればICUに入ることができないようだ。限られた医療資源を有効に使う選別は峻烈だ。

悪玉抗体がメーンになって免疫細胞まで感染

新型コロナと子供の川崎病や血栓症の関係について免疫の宮坂先生に尋ねてみました(下)(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュースを読む。

新型コロナウイルスがどこに感染するかという図が実に興味深い。
(1)として書かれていること。
喫煙歴がある、過去にウイルス感染がある、炎症を起こしていたというケースでは肺にACE2(新型コロナウイルスのレセプターになる酵素)の発現が上がってしまいます。こういうことが重症化のもとにあると思います。
(2)としての次の記述
普通はウイルスが体内の宿主細胞に感染すると、インターフェロンがつくられます。ウイルス感染を抑える1型インターフェロン(抗ウイルス系のサイトカイン)です。

どうも新型コロナウイルスはインターフェロンのシグナル伝達に必要なSTAT1タンパク質のリン酸化が阻害され、ウイルスが入ってきてもインターフェロンがうまくつくられないようになります。
このメカニズムにより「サイトカイン(免疫系を機能させる情報伝達物質)が制御できない形でどんどんつくられる」というのは腑に落ちる説明である。血栓ができることも書かれていてその他すべて納得して分かったとはいえないが、よく調べてのインタビューだ。

一般に信じられている集団免疫理論はどこがおかしいのか免疫の宮坂先生に尋ねてみました(上)(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュースも読んだ。

無症状の患者が多く、高齢者の致死率は高いというやっかいな病気である。「毎年、このウイルスにお付き合い」せざるをえないとしても、罹ったと思ったら、すぐに検査してもらえる状況であってほしい。