ロボット支援手術とVMATの比較(東大病院における比較)

Strahlenther Onkol. 2024 Aug;200(8):676-683.full textを読む。

東京大学、帝京大学の野田 軌夫(ノダ ミチオ)氏を筆頭著者とする論文であり、cT1-4N0M0前立腺がん患者を対象としてロボット支援手術 (RARP) とVMATでの治療を比較した論文である。
2011年から 2016年の間に東京大学医学部附属病院でRARPで治療された500人とVMATで治療された360人が対象である。

傾向スコアマッチング、propensity score matching(PSM)を用いて、全生存率、overall survival (OS), がん特異生存率、cancer-specific survival (CSS), 放射線学的無再発生存率、radiological recurrence-free survival (rRFS), そして、生化学的無再発生存率、biochemical recurrence-free survival (bRFS)の腫瘍学的転帰を評価した。

放射線学的再発は、放射線学的に診断された遠隔転移または局所再発と定義された。

RARPとVMATはOS、CSS、およびrRFSについて同等の結果を示したとのことだ。ただ、VMATはRARPよりもbRFSが有意に長かったというだ。

私が特にフォローしているPSA非再発率に関してはVMATのほうがいい結果となったということなので、具体的にどうか、full textを少しみてみた。

補足情報の補足図1は傾向スコアマッチング前のデータをもとにした図であり、参考までにということでこう書かれている。
RARP群の6年OS、CSS、rRFS、bRFS率はそれぞれ97.6%、99.6%、95.3%、76.8%であったのに対し、VMAT群ではそれぞれ94.9%、99.3%、92.3%、89.5%であった。
傾向スコアマッチングを行った260人に対しては図1に示されている。

傾向スコアマッチング 後、RARP グループでは 30 人の患者に生化学的再発が見られ、9 人が放射線学的再発を呈したが、VMAT グループでは 17 人の患者に生化学的再発が見られ、4 人が放射線学的再発を呈した。

比較してロボット支援手術とVMATとほぼ同等といわれても、PSA再発に関しては明らかに差があり、PSA再発に怯えることが少ない可能性のVMATによる治療を選んだほうがいいと私は思ってしまう。

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