鳥取大学のIMRTとトリモダリティのPSA非再発率比較

前立腺がんに関する興味は減じてきたが、PSA非再発率を報告した論文を調べる検索式を久々にGoogle Scholarで実行し、以下の論文をみいだした。
Yonago Acta Medica 2025.02.002full text

鳥取大学の放射線治療科の北川寛(きたがわゆたか)氏を筆頭著者とす高リスクの局所性前立腺がんに対するホルモン治療を併用したIMRTとトリモダリティを比較した論文である。

2010年から2021年に治療を受けたGSは8以上、Tステージ3a以上、グリーソンスコア8以上の患者が対象である。

ホルモン治療は放射線治療の6か月前に開始され、放射線治療後2年間継続された。

IMRT:238人
トリモダリティ:91人

以下のようなPSA非再発率だった。

IMRT
5年PSA非再発率:94.9%
7年PSA非再発率:91.8%

トリモダリティ
5年PSA非再発率:96.2%
7年PSA非再発率:91.5%

リスク因子によるPSA非再発率
full textの以下の図を参照のこと。

IMRT Fig. 2. のA
リスク因子が1-2個の場合 5年PSA非再発率:95.8%
リスク因子が3個の場合  5年PSA非再発率:91.8%
リスク因子が1-2個の場合 7年PSA非再発率:95.8%
リスク因子が3個の場合  7年PSA非再発率:75.6%

トリモダリティ Fig. 2. のB
リスク因子が1-2個の場合 5年PSA非再発率:96.8%
リスク因子が3個の場合  5年PSA非再発率:94.1%
リスク因子が1-2個の場合 7年PSA非再発率:91.4%
リスク因子が3個の場合  7年PSA非再発率:94.1%

Table 1. より T3a以上が IMRTが146人 (61%) 、トリモダリティが53 人(58%)ということなのでIMRTを受けた患者とトリモダリティ治療を受けた患者とでステージはそう差はない。

高リスクに対するTRIP試験の結果でトリモダリティのホルモン治療の期間を検証するTRIP臨床試験の参加病院についてのサイトの以下の記事をリンクした。
http://flot.blue.coocan.jp/cure/TRIP.html

鳥取大は12人が参加していてそれなりの数である。
今回報告した7年PSA非再発率で90%を超えるの値というのはそれなりに優秀であるといえる。

なお、full text のTable 2によるとIMRTの照射回数Gyとしてつぎのように書かれている。
MHF: 70 Gy/28 fractions 67 (28.2%)

私の参加した寡分割照射の臨床試験と同じ照射で治療を行った人が67 人もいたということは一般的になりつつある証左といえるかもしれない。


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