今更ながらガイドラインを確認という気は全然しなかったが、けんぞう (id:Carbon-ion)さんのブログの記事、番外編 前立腺癌診療ガイドライン2023年版を読み、少し興味ひかれた。
CQ07:局所進行性前立腺癌や高リスク前立腺癌の一次治療として、手術療法とホルモン治療併用放射線療法のどちらが推奨されるか?生存率については手術のほうだ優れているという論文があるということをブログに書いている。
推奨文:両療法の優劣は明らかではなく、患者の状態や状況、希望等を考慮し選択する
推奨の強さ:推奨なし
http://inves.seesaa.net/article/485885556.html
http://inves.seesaa.net/article/455958661.html
日本泌尿器科学会のガイドラインのリストによると2023年版はWebに公開されていない。
といっても諦めきれず、気合で検索しPDFファイルを見出し、サイトのリンク集にさりげなく追加した。
製版再校版ということで、Googleがなんらかのリンクを辿ってデータとして蓄積されているのだろう。
P.80 にこう書かれている。
CQ7 局所進行性前立腺癌や高リスク前立腺癌の一次治療として,手術療法とホルモン療法併用放射線療法のどちらが推奨されるか?「放射線療法とRPの優劣を全生存率,癌特異的生存率等の複数のアウトカムにおいて比較することは重要な臨床的課題」と書かれている。
推奨文 局所進行性前立腺癌や高リスク前立腺癌の一次治療として,手術療法とホルモン療法併用放射線療法の優劣は明らかでなく,患者の状態や状況,希望等を考慮し選択する。
[推奨の強さ:推奨なし エビデンスの確実性(強さ):C(弱)]
アウトカムとして採用された8つの中には生化学的再発率の低下があげられている。
P.81にはこう書かれている。
両治療法に関して,全生存率の比較結果が記載されているのは16文献であった。すべて後ろ向き研究であった。そのうち両治療法が同等としたのが8論文(50.0%)1-8),手術療法が有利としたのが7論文(43.8%)9-15),放射線療法が有利としたのが1論文(6.3%)16)であった(表1)。表1 アウトカム1~5に関するまとめをみると生存に関しては手術療法が有利であり、生化学的再発に関しては放射線療法が有利である。
アウトカム4:生化学的再発率の低下に関しては以下の記述。
両治療法に関して,BCRの比較結果が記載されているのは二次スクリーニングで選択した23文献中,12文献であった 1,3,5,8,11,14-17,21-23)。すべてが後ろ向き研究で,そのうち両治療法が同等としたのが2論文(16.7%)1,22),手術療法が有利としたのが0論文(0%),放射線療法が有利としたのが10論文(83.3%)3,5,8,11,14-17,21,23)であった(表1)後ろ向き研究しかないことから「エビデンスの確実性(強さ):C(弱)」となり、さらに「両療法の優劣は明らかではなく、患者の状態や状況、希望等を考慮し選択する」というのは多分に患者の選択に委ねるといいながら、手術、放射線治療は優劣はないといって患者の選択を促す医師の姿がみえるCQと推奨文である。
ただ、PSA再発となる可能性が高いのは多分に手術であり、PSA再発したあと、救済放射線治療、ホルモン治療と続くのはたとえ、生存率において優れているとしても患者として選択するにはちょとした覚悟がいるのではないか。
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