チビ太さんは「原著論文を読んでいないので、私の責任において引用する、ということではありません」と書かれている。
なぜか喉に骨が刺さったような感じが続いた。そのことの解除のために今回私は無責任にコメントしていこうかと思う。
「もの申す前立腺がん治療体験記」は「独断と偏見」で書いているということならば、私も独断と偏見で批評していこう。
「自分の主張に都合のいい論文だけを集めている可能性がありますこと、どうか、ご了承ください。」というチビ太さんのいうとおり、論文の一面的な見方で引用し論をすすめていることを明らかにしていこうと思う。
チビ太のもの申す前立腺がん体験記 1の以下の文。
後ろ向きコホート試験ではあるが、Kishan ら2018年によると、グリ-ソンスコア9~10の高リスク患者の治療においては、トリモダリティ治療がもっとも効果的であった、と報告している。原著論文は以下のとおり。
この論文は、アメリカとノルウェーの病院における1809人を対象に、全摘、『外照射+ホルモン療法』、そして、トリモダリティの3群に分け、それぞれの前立腺がん死亡率、無遠隔転移生存率、全生存率を調べたものだ。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29509865/
サイトでAmar U. Kishan氏の論文__GS 9-10 での治療法比較と題して書いている。
手術、外照射、小線源+外照射を癌特異的死亡率、遠隔転移率、全原因死亡率で比較し、小線源+外照射が優位に低いことを示した論文である。
「初回の治療のとき、再発率の低い治療を選択する必要がある」という主張が繰り返されていていることに対して効果的であることを示したものではない。
すなわち「トリモダリティ治療がもっとも効果的であった」ということは示されていない。
なお、「再発率の低い」と書かれている再発は臨床再発ではなく、PSA再発と思われる。
更に次の引用文。(これは私のブログに原著論文を示していない)
さらに、Yorozu Aらは、2023年の論文で、高リスク患者にトリモダリティをした場合、9年後の非再発率は、90%(全日本の平均)だったと報告している。原著論文は以下のとおり。
(なお、ホルモン療法の期間は、6ヶ月と30ヶ月の2群あったが(非再発率は、それぞれ、89.6%と90.5%)、どちらも、統計学的な有意差はなかった。つまり、トリモダリティにおけるホルモン療法は、6ヶ月で充分ということだ。)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37802225/
ブログに高リスクに対するTRIP試験の結果として紹介した論文である。ただAbstractには7年PSA非再発率という記述であるが、チビ太さんのブログでは9年PSA非再発率と書かれている。full text に記述があるかもしれないが、確認できない。
ここで、問題とするのは高リスクといってもNCCNリスク分類ではなく、TRIP試験における独自のものだ。
高リスクといってもT3aまででT2cも含まれる。
「TRIP試験の対象症例はD'Amicoの高リスク症例にNCCNガイドラインで定義されている高リスク症例を含めたもの」
TRIP試験にはこう書かれている。
下記3因子のうち1つでも満たす症例を高リスク群とする
1 前治療CAB開始前のPSA値20 ng/mL超
2 臨床病期T2cまたはT3a
3 中央病理診断のグリソンスコア8以上
TRIP試験ではT3の割合がどの程度なのか分からないが、サイトのTRIP試験登録病院に私はこう書いた。
NCCNリスク分類そのものにしなくてT2cを含めたのは参加する病院、参加する患者の幅を広げる意からだろう。このページでTRIP試験参加人数10位の札幌医科大はいまや小線源治療は実施していない。(休止中)
前立腺癌密封小線源永久挿入治療研究会にリンクされている【前立腺癌小線源治療実施施設一覧2024】より
チビ太さんのブログで「高リスクの治療は、トリモダリティ以外、あり得ない」と書かれているが、いまやどの病院が高リスクに対してトリモダリティを実施しているのか臨床試験開始時期より探すのが難しくなったと思われる。
ブログ村に参加しています。クリックしていただけると嬉しいです。

にほんブログ村
この記事へのコメント