東京大学泌尿器科、帝京大学泌尿器科の野田軌夫氏を筆頭著者とする論文である。
2011年から2016年の間に東京大学医学部附属病院で根治目的でRotational Intensity-Modulated Radiotherapy(VMAT)(n = 374)またはRobot-Assisted Radical Prostatectomy(RARP)( n = 500)を受けたcT1-4N0M0前立腺がん患者が対象である。
追跡期間の中央値は79か月(6年以上)であった。Propensity Score Matching (PSM)を用いた評価であり、治療群あたり130人で評価を行った。
結論としてこう書かれている。
6年間の追跡調査後のPSMによると、RARPとVMATは同等の優れた腫瘍学的転帰を示し、合併症のプロファイルも許容できるものであった。なお、PSA非再発率:bRFSについては次のように書かれている。
定義が異なるとはいえ、VMATはRARPより有意にbRFSが長かった。放射線治療と手術は同等であるということはいわれていてこの論文でもそのことが結論付けられている。ただ、PSA非再発率に関してはVMATのほうが優れていることは書かれている。
Fig. 1のグラフをみると明らかにVMATの非再発率の値がRARPより高い。
患者特性についてマッチング前と後のデータがTable 1に載っている。
マッチング前の値をみてみる。
GSが9以上
VMAT 62 人(17.2%)
RARP 49人 (9.8%)
T3以上
VMAT 50 人(13.9%)
RARP 7人 (1.4%)
症状の重い人がVMATで治療されている。
マッチング前のグラフはSupplementary Fig. 1.のとおり。
PSA再発の人数はVMATは37人、RARPでは、111人だったこと、また、6年PSA非再発率はVMATは89.5%、RARPでは76.8%であることからもPSA非再発についてはVMATということがいえる。
ただ、PSA非再発後の救済放射線治療込のデータというのは公表されていないので、なんとも言えないが、Cancer-Specific Survival (CSS)ではVMATとRARPでは同等なので、比較の尺度を何にするのかによるともいえる。
ブログ村に参加しています。クリックしていただけると嬉しいです。

にほんブログ村
この記事へのコメント