岐阜大学医学部附属病院泌尿器科講師の飯沼光司さんの話をきき、それを記事にしたものだ。
2022年の日本癌治療学会で飯沼さんの報告について書かれている。
2005 年7月から2007年12 月までに実施されたJ-POPS研究を基に報告されたもので、追跡調査ができた3,745例が対象である。全生存期間(OS)を評価された。
NCCNリスク分類による内訳は以下のとおり。
低リスク 1,576人(42.6%)
中間リスク 1,847人(50.0%)
高リスク 275人( 7.4%)
その他 分類不明が24人、局所進行が3人
外照射併用 824 人(22.0%)
ホルモン併用 1,552 人(41.4%)
追跡期間の中央値は11.7年
10年全生存率 90.3%
リスク毎の10年全生存率
低リスク 91.4%
中間リスク 89.1%
高リスク 83.7%
ただし、リンクした日本癌治療学会の学術集会抄録アーカイブでは中間リスク患者は 86.4%と書かれている。10年全生存率、低リスク、高リスクは同じ値である。
そうして抄録では次のように書かれている。
The 10-year OS rate in patients with Gleason score ≦6, 7 and 8< were 91.8%, 89.1%, and 84.7%, respectively.がんサポートの記事では全生存率の記載のあと以下のように書かれている。
長期治療成績は、低リスク・中間リスク・高リスクともに良好な結果となっていました。ただ、低リスクの患者さんが42.6%、中間リスクの患者さんが50.0%を占め、高リスクの患者さんは7.4%しか含まれていないので、「その点は気をつけて解釈する必要があるかもしれない」と飯沼さんは言います。そうしてページ2では副作用についてこう書かれている。
「全生存率は、前立腺がんによる死亡だけでなく、すべての死亡を含めて算出されますが、長期間経過を観察すると、前立腺がん以外の原因による死亡も増えてきます。それを考慮すると、良好な治療成績と考えてよいでしょう。3,745人中、死亡した患者さんが438人いましたが、その中で前立腺がんが死因だったのは、わずか26人。非常に少なかったのです」
「性機能の温存に関して、欧米人に比べて日本人はあまり気にしない人が多いのですが、小線源療法は性機能を温存しやすいのが特徴です。手術前とまったく変わらないというわけではなく、若干は落ちるものの、かなり保たれることが多いのです。手術療法もロボット支援手術が行われるようになって、機能を温存しやすくなっているのは事実です。ただ、手術では前立腺と一緒に精嚢(せいのう)も摘出するため、射精はできなくなります。手術後の尿失禁も、ロボット支援手術になって軽くはなっていますが、起こりうる合併症です。その点、小線源療法ですと、尿失禁が起こることはあまりありません」日本において前立腺がんの小線源治療が開始されたのは2003年7月であり、J-POPSははやい段階から日本全国の病院の患者を登録し、継続してフォローしたものだ。高リスクに対するトリモダリティは一般的ではなく、そういった意味では高リスクの患者が少ないのは仕方がないところだ。
ただ、排尿への影響がないわけではありません。もともと尿が出にくいなどの排尿障害がある患者さんの場合、小線源療法を行うと、症状が増悪することがあります。治療法の選択に当たっては、治療前の排尿状態は重要で、それが悪い場合には、小線源療法は勧められない場合もあります。
とはいえ、PSA非再発率の長期的なデータが公開されないのは残念だ。
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