小線源治療後、PSAが0.2ng/mL以下に達成する期間

Brachytherapy. 2021 Jan-Feb;20(1):29-37.を読む。
自衛隊中央病院放射線科の征矢野崇(そやの たかし)氏を筆頭著者とする論文であり、小線源治療後、PSAの直下値値が0.2ng/mL以下に達成するまでの期間と関連因子を明らかにしたものである。

2003年から2013年の間に外部照射放射線治療を併用または併用せずに小線源治療を受けた前立腺がん患者2218人のうちホルモン治療を受けていない1089人を対象とした。
PSA直下値≦0.2ng/mLまでの期間(月)は小線源治療実施後、初めて≦0.2ng/mLに達するまでの期間と定義した。PSA再発はPhoenixの定義による。
低リスク 409人
中リスク 592人
高リスク 88人
追跡期間の中央値は9.5年

PSA直下値0.2ng/mL以下の達成期間の中央値は44.0ヵ月(95%信頼区間:42.3-45.7)
直下値を達成した患者の割合は89.1%

PSA再発は107人(9.8%)

以下の記述が興味深い。
PSA再発を認めなかった患者の多変量解析では、若年、小線源治療時の前立腺体積が大きい、初期PSA値が高い、および小線源単独療法がPSA下降値達成までの期間の長さと有意に関連していた。
last authorとして斉藤史郎氏の名前が書かれているので、書かれている1施設というのは東京医療センターのことであろう。

小線源治療後のPSAの推移はIMRT治療後とは異なるが、手術の再発の定義、0.2ng/mLに達する期間が明らかになった論文ということで、意義のあるものだろう。

なお、征矢野氏は小線源治療部会 第22回学術大会で「前立腺癌密封小線源療法におけるPSA nadir ≤0.2 ng/mlは達成可能な目標か」という表題で発表している。

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