脚本家の三谷幸喜さんが前立腺がん(低リスク)に罹り、2016年1月に腹腔鏡手術で治療した経験を主治医である慈恵医大の頴川晋氏との対談をもとにしてつくった本である。
三谷流のユーモアあふれる筆致でかかれていて、限局性前立腺がんは「まったく怖くない」といいうことを示した本だ。
読んで、前立腺がんに関する知識で目新しいものはそうなかったが、気にかかったことを読書メモとして以下転載する。
P.46-47当然のようにがんが前立腺にとどまっているあいだに治療するのが何よりも肝要だと言える。さらに次の記述は老いと認知が衰えていくことに対する恐れを減ずるみかただ。
頴川
骨というのは、カルシウムの塊ではなくて、真ん中に骨髄があって、血が流れてるんです。その中をグルグルッとがん細胞が動いていくイメージです。しかも、がん細胞はどこにでもくっつくわけではなくて、受けてみたいなものがあってそこにピタッとくっつきます。さらに条件が合うと、くっつくだけでなくどんどんと増えていく、それが骨転移です。
リンパ節はご存知ですか。リンパ液も体の中に流れていて、血管と同じようにリンパ管というものがあります。そこの中にグルグルッとがん細胞は入っていくんですね。それがリンパ節への転移です。血管の中かリンパ管か、どちらかのルートでがん細胞は移動します。
P.155-156そうして手術に対する記述。
頴川
アルツハイマーは、積み重ねたものがどんどんわからなくなっていきますよね。それはつまり、幕引きに対する不安を自分で取り除いている、という。
三谷
そうか、いい話だなあ。
頴川
必ずしもその意見に賛成ではないですが、最後はどんどん子供にかえっていって衰えていく自分すら忘れるわけですから、そのほうが幸せなのかもしれないと。
P.172読み物として楽しめた。
頴川
初めて摘出手術が行われたのは1904年、神経を温存する前立腺全摘出手術が行われたのが1982年。
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