BONENAVIのBone Scan Index(BSI)による予後予測

骨転移の場合、骨シンチグラフィを行い、骨転移の進み具合をフォローしていく。その際、画像を読む医師の経験、力量による部分がある。
そのことから、富士フイルムRIファーマ(株)とDiagnosis社(スウェーデン)はコンピュータ支援診断システム「BONENAVI」を共同開発した。 1)2)

BONENAVIでBone Scan Index(BSI) が表示される。このBSIと生存率とは関連していて、骨転移の場合、PSAだけをみているとがんの進展を十分把握できないと金沢大学の溝上医師はいう。
それはドセタキセルを使う場合の工夫で参照した前立腺がん患者・家族の会〜腺友倶楽部の「前立腺がんセミナー 患者・家族の集い 2016 大阪」における講演の以下のところから。(BONENAVIの説明から)
https://youtu.be/6VQXZGRztJc?t=1915

日本癌治療学会で溝上氏によって前立腺癌骨転移でのBone Scan Indexを用いた予後予測に関する多施設前向き観察研究が発表されている。
この発表はUMIN000007858、「前立腺癌骨転移評価時の骨シンチグラフィにおける骨転移評価指標Bone Scan Index(BSI)を用いた治療効果、予後予測に関する研究」について発表したのだろう。

研究デザインを説明した論文は以下のとおり。
Int J Urol. 2018 May;25(5):492-499.
full textでは「日本の36の病院から合計237人の患者が登録されました(表1)。」と書かれている。先の日本癌治療学会での発表では「登録施設は36施設、最終登録症例数は236例(初回ホルモン療法群157例、化学療法群80例)であった。」と書かれているが、足し算の誤りで計237人が対象だったと思われる。

full textの「表1. 運営委員会と参加病院」をみると結構広範囲の病院が参加している模様だ。ここにあげられている病院では日常の診療でBONENAVIが使われているものと推察する。

溝上氏により2020 ASCO Annual Meetingで発表されている。
https://meetinglibrary.asco.org/record/183590/abstract

臨床試験情報:UMIN000007858 と書かれている。

さらに検索し、Int J Urol. 2021 Sep;28(9):955-963. をみいだす。この論文にもfull textに以下のように書かれている。
This multicenter study was registered on 1 May 2012 in the University Medical Information Network in Japan as UMIN00000-7858.

DeepL翻訳
この多施設共同研究は、2012年5月1日、日本の大学医療情報ネットワークにUMIN00000-7858として登録されました。
結果をDeepL翻訳で示す。
結果 平均追跡期間716±404日の間に81人(33%)が死亡し、3年死亡率は転移性ホルモン感受性前立腺癌群、転移性去勢抵抗性前立腺癌群でそれぞれ20%、52%であった。生存率解析の結果、転移性ホルモン感受性前立腺癌群ではBone Scan Index >3.5%が死亡の有意な決定因子であり、転移性去勢抵抗性前立腺癌群では化学療法前の前立腺特異抗原 >55ng/mLが予後の決定因子であることが示された。また、転移性ホルモン感受性前立腺癌群では、Bone Scan Index >3.5%が前立腺特異抗原の高進行と関連していた。転移性ホルモン感受性前立腺がんで、治療に対するBone Scan Indexの反応が良い(45%以上)患者は、そうでない患者よりも死亡率が低かった。
この研究は化学療法を受けた患者も含まれていたが、CRPCで骨転移している患者でエンザルタミドまたはアビラテロンでの治療を受けた場合についての論文は以下のとおり。
Anticancer Res. 2019 May;39(5):2553-2559.

対象は31人とそう多くない。結論として次のように書かれている。
エンザルタミドまたはアビラテロン治療前の低いBSI値およびエンザルタミドまたはアビラテロン治療後のBSIの減少は、全生存期間延長の独立した予測因子である。BSIは、骨転移を有するCRPC患者のリスク評価に有用であると考えられる。

1)骨シンチグラフィ診断支援ソフト「BONENAVI®」の紹介(TOPICS)
2)Bone scan index: A new biomarker of bone metastasis in patients with prostate cancer

……腺友ネット:掲示板 への以下の2020年 6月14日の投稿を変更、追記

……2022/04/29に追記
full textには次のように書かれている。
As software for calculating BSI is installed in >800 hospitals in Japan
この800という病院の数からどこの病院でも利用可能とまではいっていないようだ。

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