ドセタキセルを使う場合の工夫

前立腺がんに対する抗がん剤としてはドセタキセル、カバジタキセルがある。
抗がん剤治療というとあまり印象はよくない。脱毛、吐き気など副作用が強く、治療中苦しめられる、それに反して対して効果はないという思い込みをもつ人は多いかと思う、
抗がん剤を使用することがもう治療の最終段階ということで諦めとともに開始せざるをえないという感じだ。
ただ、元気でなければ抗がん剤治療はできないということも真実だろう。

前立腺がん患者・家族の会〜腺友倶楽部の「前立腺がんセミナー 患者・家族の集い 2016 大阪」における金沢大学の溝上 敦 氏の講演、進行前立腺がんとのつきあい方 〜診断と薬物療法について〜はとても参考になる。
抗がん剤の副作用については以下の箇所から。
https://youtu.be/6VQXZGRztJc?t=3599

抗がん剤治療はアンドロゲン非感受性のがん細胞に対して効果があるという説明は以下のところから。
https://youtu.be/6VQXZGRztJc?t=3648

ドセタキセルを使う場合の量の工夫に関して、私はサイトのドセタキセルという記事で赤倉功一郎氏の著書『前立腺がん』より引用、紹介した。P.109に次のように書かれている。
知っておきたい ドセタキセルを使う場合の量の工夫
ドセタキセルは、75mg/m2(体表面積)を3週間ごとに投与するというのが承認された薬の使用量です。その後の研究で、薬の使用量を少なくする、あるいは投与間隔を変化させることで、同じ効果を得られながら副作用を少なくできることがわかってきました。そのため、各々の医療機関により投与法が異なります。
ドセタキセルの添付文書の「6. 用法及び用量」にはこう書かれている。
前立腺癌
通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして75mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量すること。
適宜減量は医師に委ねられていると読み取れる。
これは多分に前立腺癌における「17.1.8 国内後期第2相臨床試験」が70mg/m2で実施されたにも関わらず、承認されたのが75mgなので適宜減量ということが書かれていると思われる。当然減量すると副作用は減るだろう。

赤倉氏が著書で書かれている低用量のドセタキセル治療で同じ効果をあげられ副作用を少なくさせることがわかってきたというのは多分、共著者となっている以下の論文に基づくものだろう。

2005年から2011年の間に14病院でドセタキセル治療を受けた145人が対象で東邦大学医療センター佐倉病院 泌尿器科の神谷直人氏を筆頭著者とする論文
Int J Clin Oncol. 2014 Feb;19(1):157-64
結論としてこう書かれている。
日本人集団では、比較的低用量のドセタキセル化学療法はCRPC患者の癌特異的生存率に有害な影響を及ぼさず、高用量を受けた患者と比較してPSA反応が低下したにもかかわらず有害事象の発生率が低かった。
溝上氏はさきにあげた講演の以下の箇所から金沢大学におけるドセタキセルの隔週投与について話している。
https://youtu.be/6VQXZGRztJc?t=3720

溝上氏が講演で参照した論文は下記の通り。
Lancet Oncol. 2013 Feb;14(2):117-24.

3週間毎と2週間毎のランダム化比較試験の結果を報告したものだ。

隔週使用はどこの病院でも行ってくれるわけではないと思うが、低用量での使用は添付文書に書かれているので主治医に相談すれば可能だろう。

……腺友ネット:掲示板 への以下の投稿より
・2019年 2月11日
・2019年 2月12日
・2021年 6月14日
・2021年 6月16日

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