サイトで代わりとなる悪性度分類という表題の記事でThe Johns Hopkins Medical InstitutionsのJonathan I Epstein 氏を筆頭著者とする論文、Eur Urol. 2016 Mar;69(3):428-35.、full textを紹介した。
この論文についてはブログの記事、ISUP grade group 米国ではGSと併記でも参照している。
ブログ記事では『前立腺癌診療ガイドライン 2016年版』より引用し、ISUP が提唱したGleason分類に代わり新しいグレードグループ分類のエビデンスとなる論文であることを示した。
Grade GroupとGSの対応は以下のとおり。
GS
≦6 Grade group 1
3+4 Grade group 2
4+3 Grade group 3
8 Grade group 4
9-10 Grade group 5
Epstein論文においてGrade group 4を細分化しない理由については次のように書かれている。
「グリソンスコア8のうち、大半が4+4であったため、頻度だけで3+5、5+3に分けることは有用ではないと考えた。」
Fig. 1のPSA非再発率のグラフをみるときれいに層別化されている。
2005年から2014年の以下の5病院の連続する20845人の患者を対象とした論文であり、それなりの信頼性はあるかと思う。
Cleveland Clinic (Cleveland, OH, USA)
Memorial Sloan Kettering Cancer Center (MSKCC; New York, NY, USA)
Johns Hopkins Hospital (Baltimore, MD, USA)
University of Pittsburgh (Pittsburgh, PA, USA)
Karolinska Institute (Stockholm, Sweden)
手術の5年PSA非再発率については以下のように書かれている。
GS 6 96%(95%信頼区間[CI]、95-96)
GS 3+4 88%(95% CI、85-89)
GS 4+3 63%(95% CI、61-65)
GS 8 48%(95% CI、44-52)
GS 9-10 26%(95% CI、23-30)
Grade group 4で5年PSA非再発率は48%なのでこの程度ならば救済放射線治療を考慮すれば許容できる値かなと思う。
Grade group 5で手術を選択するのはある程度の覚悟がないとできないのではないかという率直な感想。
胃がんでは日本の手術の手腕が他国より優れているという話はきくが、前立腺がんではどうか。
胃がんほどの差はないのではという推測できまるが、ただし、手先が器用なことから日本のほうが優れていたという可能性はある。
ロボット支援手術の普及より手技はそう問われなくなったのかもしれない。
……腺友ネット:掲示板 への2021年11月23日の投稿より
この記事へのコメント