5つの放射線治療法の有害事象の比較

愛知医科大の伊藤誠氏を筆頭著者とする論文、Anticancer Res. 2021 May;41(5):2523-2531.full textを読む。

4つの病院の2005年から2018年にかけて、非転移性前立腺がん患者のデータをレトロスペクティブに分析したものだ。
患者は、高線量率ブラキセラピー(HDR-BT)、低線量率ブラキセラピー(LDR-BT)、または従来分割放射線治療(CFRT)、中等度寡分割放射線治療(MHRT)、超寡分割画放射線治療(UHRT)を含む外照射放射線治療(EBRT)で治療された。

496名の患者(149名:HDR-BT、100名:LDR-BT、100名:CFRT、97名:MHRT、50名:UHRT)が対象であり、追跡期間の中央値は4.3年であった。
グレード2以上の尿路系有害事象の発生率は、HDR-BTが他の放射線治療に比べて有意に低かった。グレード2以上の晩期尿路系有害事象の累積発生率はUHRTが最も高く、HDR-BTよりもUHRTの方が有意に高かった。
IPSS、QOLのスコアのピークは、EBRTよりもLDR-BTの方が治療後4週間で高かった。
図1図2を参照のこと。
小線源治療の尿路系有害事象についてはサイトの治療後の排尿症状小線源治療の副作用で書いている。

伊藤論文の患者の病期はcT1-T4N0M0であり、表1をみるとLDR-BTは極めて高リスクが少ない。
論文できにかかった文を以下に引用する。
HDR-BT技術の有害事象が低いことは、直腸および尿道の線量が低いことによって裏付けられていると考えられます。
さらに次のアルファ遮断薬薬の影響に関する文。
、私たちの研究では、IPSSとQOLのスコアはLDR-BTグループで悪化しましたが、LDR-BTグループとEBRTグループの間で医師が記録した急性尿路系有害事象に有意差は観察されませんでした。これらの一見逆説的な結果は、予防的なアルファ遮断薬の使用によるものであると仮定しました。LDR-BTグループのみが放射線療法後約1年間予防薬を投与されたため、急性尿路系有害事象性が過小評価された可能性があります。患者から報告されたIPSSおよびQOLスコアは正確な結果であり、LDR-BTは急性尿路系有害事象に関してEBRTよりも不利であったと考えられます。


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