放射線治療「IMRT」 幡野和男 東京ベイ先端医療・幕張クリニック
著者の前任施設である千葉県がんセンターの治療成績にふれ、次のように書いている。
NCCNガイドラインの超高リスク群(T3b-T4,PSA>20ng/ml,GS>7)の治療成績さらに次の記述。
はbNEDは73.1%と有意に不良であった.こうした超高リスク群に対しては,2-3年の長期ホルモン療法併用と共に,腫瘍部位への局所的な線量増加も必要かもしれない.
bNED:生化学的非再発率
著者らも,このSIB法による治療を開始しており,長期成績は今後の問題であるが,少なくとも急性期有害事象においては,従来法と差がないと考えている.小線源については次の論文。
Simultaneous Integrated Boost(SIB)法:IMRTによって局所的にそれ以外の前立腺組織よりも高線量を照射し,局所制御率向上を目指す治療法
放射線治療 Brachytherapy(小線源療法) 斉藤史郎 国立病院機構東京医療センター
現在までに全国117の施設で治療が実施されたが,最近は症例数の多い施設と少ない施設が明確に分かれており,センター化の傾向にある.
治療件数は2011年をピークにこの3年間は低下傾向にある.また,ここ数年間は新たに治療を開始する施設はなく,逆に治療をやめてしまった施設も少なくない.治療をやめた理由は様々のようだが,症例数が極端に減ったり,放射線科医が転勤で不在になったなどの理由があるようである.さらに症例数が減少傾向にあるのは,全国でロボット支援前立腺全摘術が増加しているためと考えられる.
全国での症例数が顕著に減少しているにもかかわらず,一部の施設で増加しているのは治療の実施がセンター化されていることを表しており,事実全国の症例の半数近くが10数施設だけで実施されている.そうして次の記述。
シード治療が始まった当初,この治療は低リスク症例のみが適応という考えがあったが,一部の施設では外照射を併用して中間リスクや高リスク症例においても積極的に治療が行われてきた.今回示した結果でもわかるように,シード治療では高リスク症例においても長期に良好な成績が得られている.この理由はシード治療では高いBiologi-ally Effective Dose(BED,生物学的効果線量)が得られるからだと考えられる.最後に手術。
開腹恥骨後式前立腺全摘 藤元博行 国立がん研究センター中央病院
開腹による恥骨後式前立腺全摘は約30年前に確立した手術法となりその後,前立腺癌に対する局所治療の本道に君臨してきた.
若年者の局所前立腺がんにおいて前立腺全摘は最も考慮すべき治療法であると言える.そうして以下の文はご自身の手術の力量に自身があるからの記述であろう。
High riskであるという理由のみで患者が望むにも関わらず前立腺全摘を実施しないのは間違いであり,実施しなくてよいとする理由を正当化することは逆説的に手術技術に問題があることを認めていることになるのではないかと考えている.……2015年11月19日の掲示板への投稿記事を転載。
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