ロボット支援前立腺全摘除術(RALP),腹腔鏡下前立腺全摘除術(LRP)は恥骨後式前立腺全摘除術(RRP)と比較し同等の制癌効果が得られる。 推奨グレード Bロボット支援手術だといって、PSA非再発率に優れているというわけではなく、同等という認識だった。
本当にそうかなと思い、Google Scholarで検索し次の論文をみいだした。
・BMC Cancer 2017 Jun 29;17(1):454.
東大の藤村哲也氏を筆頭著者とする論文であり、robot-assisted radical prostatectomy (RARP):ロボット支援前立腺全摘除術とretro-pubic radical prostatectomy (RRP):恥骨後式前立腺全摘除術の断端陽性率、PSA非再発率を比較したものである。
2005年5月1日から2016年5月31日までの患者が対象であり、RARPは418人、RRPは490人だった。
断端陽性率は以下のとおり。
RARP:21%
RRP:44%
D'Amicoのリスク分類によると
RARP
低リスク:62人(14.8%)
中間リスク:248人(59.3%)
高リスク:108人(25.8%)
RRP
低リスク:177人(36.1%)
中間リスク:246人(50.2%)
高リスク:67人(13.7%)
5年PSAは何%といった具体的な値は示されていないが、確かにFig. 1を見る限りロボット支援手術のほうが優れている。こう書かれている。
PSA非再発率は、RARPを受けた男性の方がRRPを受けた男性よりも有意に良好であり、特にD'Amicoの低リスクおよび中間リスクの男性において良好であった。高リスクの割合はRARPが高く、より症状の重い患者を対応している。
ロボット支援手術は2012年に保険診療適用後、すべて切り替えた患者が対象である。ということで、観察期間は短く、一病院での結果であるが、興味ある結果の報告だ。
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