サルベージ放射線療法とサルベージホルモン療法とのランダム化比較試験

掲示板のフォレストさんの投稿記事の質問に対する回答を書くのに検索していた過程でSalvage Radiotherapy Versus Hormone Therapy for Prostate-specific Antigen Failure After Radical Prostatectomy: A Randomised, Multicentre, Open-label, Phase 3 Trial (JCOG0401) † - PubMedをみいだす。

臨床試験JCOG0401の詳しい説明は早期前立腺癌根治術後のPSA再発に対する放射線照射と内分泌治療に関する
ランダム化比較試験実施計画書
に載っている。

T1-2N0M0前立腺癌で根治的前立腺摘除術後PSA再発し、術後病理所見:pT0/2/3、pN0/Xである患者が対象である。さらに以下の条件。
(術後PSA値が0.1ng/ml未満→PSA値が0.4ng/ml以上に再上昇、PSA値1.0ng/ml以下)

A群として内分泌治療単独群 B群として放射線±内分泌治療群にランダムに割付けて比較する臨床試験である。
参加した病院の具体的な名称は九州大学医学部泌尿器科|トピックス|臨床研究について 1を参照のこと。

primary endpoint として TTF(Time to Treatment Failure) of BCL(bicalutamide)であり、BCLのTTFは、SRT±SHT群(8.6年)の方がSHT群(5.6年)よりも有意に長かった。
secondary endpoint である臨床的無再発生存期間、全生存期間は両群間で差がなかった。

「SRT±SHT群では、102例中32例(31%)がSRT治療の失敗を経験しなかった」ということは長期のホルモン治療を避けうる可能性があるということからもPatient summaryに書かれている以下の文はもっともなことである。
根治的前立腺摘除術後にPSA再発した患者は、サルベージホルモン療法の前にサルベージ放射線療法を行うことが有益である。
九州大学医学部泌尿器科|トピックス|早期前立腺がん 摘出後2割再発という記事の最後の以下の文がランダム化比較試験の結果を報告する論文で明らかになったといえる。
一般的には、局所再発例には放射線療法、遠隔転移例にはホルモン療法が適用になると思われますが、これらの両治療法の有用性については未だ明らかな根拠に基づいたものありません。

そこで、本研究ではPSA再発に対して放射線療法をまず先行して行い、ホルモン治療抵抗性になるまでの期間が放射線照射の短所を凌駕するほどに延長するかどうかを調べることで、放射線照射を加えることの臨床的意義を評価できると考えています。
以前から気になっていたことが臨床試験の結果として報告されたことを今回しることができ、よかった。
黒沢病院の伊藤一人氏が本論文の解説記事を第15回 日本発、世界に類を見ないユニークな研究―JCOG0401|スペシャリストの視点|医療情報サイト m3.comに書いている。
医療従事者しかメンバ登録できないサイトなので仔細をしることはできない。

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