思い出話
骨シンチ、MRI検査の前に生検の結果よりがんであることは分かっていて治療法を考える時間は与えられていた。2014年4月下旬、前立腺がんであることを最終的に宣告された。(浸潤、骨転移はなし)治療に関してはIMRT治療を希望することを主治医に伝えた。ただ、放射線治療装置の空き具合で治療は6ヵ月後ということだった。
私は当時、そう知識もなく、その間何の治療もないかと動転してきいた。
主治医「ホルモン治療を行います」
私「続けると再発したときに効きにくくなるのではないですか」……目をむいての質問
主治医「短期間ですので、特に問題ないです」
中間リスクに対するホルモン治療併用
サイトの海外情報に書いた「放射線療法+短期ホルモン療法併用の効果は、主に中間リスクの患者に対してみられる」というランダム化比較試験(RCT:Randomized Controlled Trial)の結果の記事を読んで、特に主治医からは待ちの間のホルモン治療というだけで積極的な意味あいがあるということは言われなかったが、ホルモン治療開始後、納得した。論文は以下のとおり
・N Engl J Med. 2011 Jul 14;365(2):107-18.、full text
日本泌尿器科学会/編『前立腺癌 診療ガイドライン 2016年版』には上記の N Engl J Med誌の論文がP145で参照されていることを確認し、中間リスクに対する外照射+ホルモンという記事を書いた。
さらにの上記のRCTでは骨盤(前立腺およびリンパ節)に46.8Gy、前立腺に19.8Gy、総線量66.6Gy と高線量でない時代の結果なので、同じく診療ガイドラインに載っている80Gy照射のRCTにについて中間リスクに対する外照射+ホルモン その2で紹介した。
PSA非再発率においては外照射単独よりホルモン治療併用のほうがいいという結果になったということだ。
ガイドラインのP.142には以下のように書かれている。
CQ3 根治的外照射においてホルモン療法は根治成績を改善するか?
また至適な併用のタイミング、薬剤、期間はどのようなものか?
中間リスク症例に対しては、4~6カ月程度のホルモン療法(照射前±同時併用)が推奨される。 推奨グレードB
私は大して副作用もなく、ホルモン治療を終えることができ、まあRCTの結果で併用のほうがいいとのことなので、それはそれで、ホルモン治療を受けたことに納得している。
高リスクに対するホルモン治療併用
高リスクに対して放射線治療後のホルモン治療の日米の推奨レベルが異なることを高リスクの場合の外照射とホルモン治療の併用についてで紹介した。日本 推奨グレードC1
米国 カテゴリー1
日本のガイドラインは70Gy までの照射でホルモン治療有無しでのRCTしかないということで、推奨グレードC1という扱いになっているようだ。
実際の臨床の現場では外照射後もホルモン治療を行っている場合が多いと思われる。
……掲示板への2017年 8月12日の投稿による。
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この記事へのコメント
さっちゃん
ご無沙汰しております。
読み進めてまさにまっちゃんの治療がガイドライに沿っていることがよくわかりました。
まだまだ治療は続いていますが
QOLは保たれています。
根治はないのですが
病気とは長い付き合いになりそうです。
石葉眞
コメント ありがとうございます。
新しいことを調べ、ブログ記事にすることは減り、武内掲示板に投稿し、ブログ記事にしていなかったものをURL変更されていたのを修正したりしてブログに転載しています。
音楽も懐かしのジャズ、懐かしの現代音楽といった今日この頃です。
さっちゃん さんのブログ、ご主人を暖かく見守っている様子が窺え、読むとほっとします。