滋賀医科大の小線源治療の論文、T4N1 の case report

元滋賀医科大の岡本圭生氏の症例研究論文、Prostate cancer with nodular bladder invasion (stage T4N1) cured by low-dose-rate brachytherapy with seminal vesicle implantation in combination with external beam radiotherapy of biologically effective dose ≥ 220 Gy: a case reportを読む。full text のPDFにはこう書かれている。
Received: 16.09.2020
Accepted: 02.11.2020
Published: 18.02.2021
極新しい論文である。岡本メソッドの詳細を記した論文を期待したが、症例研究とはちとガッカリだ。

膀胱浸潤と両側精嚢(SV)浸潤を伴うT4N1の患者を2013年に治療を行い、「6年後も腸や尿の問題もなく健康を維持しました」という報告だ。全骨盤照射を行い、精嚢に小線源をいれたとのことだ。

総BEDは、224.8Gy(LDRによる135.9 Gy +補足EBRTによる88.9Gy)ということでBED 220Gy以上で治療を行えば、良好な結果がえられるという一つの例であろう。

その他、計31例 厳しい症例があった(7例のN1含む)がすべて治療し、PSA再発無し、死亡した人無しと書かれてる。

本ブログでいくつか記事を書いた高リスクに関する論文ではT4が1例、局所リンパ節転移が5例だったと書かれている。この論文は2005年から2013年の患者が対象なので本症例研究の患者も含まれているのだろう。
N1に関しては2014年から2019年までの6年間に2例増えたといえる。2013年までの患者数と比べると明らかに数は鈍化している。N1の症例の患者を積極的に治療をすることが少なくなったのだろうか。

所属として滋賀医科大の名前を書いていることに違和感を感じた。既に退職しているのにどうしてなのかと思った。データが滋賀医科大のものを使用しているからなのか、あるいは寄附講座の縛りのせいなのか分からない。
ただし、full text のPDFには宇治病院の電話番号が記載され、連絡先としてgmail のアドレスが書かれている。
またDisclosureには以下のように書かれている。
Keisei Okamoto was associated with the Department of Brachytherapy for Prostate Cancer endowed by Nihon Medi-Physics Co., Ltd., Tokyo, Japan.
寄附講座所属は過去のことであることを明記している。

高リスクの患者に対する5年ではなくもう少し長い期間、例えば、7年間の治療成績がもう報告されることがなくなったのは残念である。

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