中間リスクに対して必要な小線源治療の線量(BED)

中間リスクの場合小線源治療を実施した場合、BEDの値がPSA非再発率に関してどのように関係しているか興味をもち、検索し以下の論文に至る。
Int J Radiat Oncol Biol Phys.2009 Sep 1;75(1):16-22.

概要についてサイトに小線源治療 中間リスクにおけるPSA非再発率 予測因子と題して書いた。
Alice Y. Ho,氏を筆頭著者.とするマウントサイナイ病院における1990年6月〜2004年12月の中間リスクの患者558人を対象とした論文である。

BEDが150 Gy未満か以上かにより10年PSA非再発率が大きく異なるという話でそれが唯一の有意な予測因子であり、その他の因子例えば外照射併用、グリーソンスコアなどは統計的に有意でなかったとのことだ。

それはそれで興味深いがその値は本ブログにいくつか記事を書いた元滋賀医科大の岡本医師の論文、J Contemp Brachytherapy 2020 Feb;12(1):6-11とは異なる。

岡本論文ではBEDは200Gy以上ということをいい、7年PSA非再発率は99.1%だった。
上記のマウントサイナイ病院における報告では150 Gy以上の場合で10年PSA非再発率は92%である。

リアルタイムによる術中計画法の開発は1990年代で決してリアルタイムによる術中計画法の開発は2000年代初めでないことを書いた。
Alice Y. Ho,氏の論文では次のように書かれている。
すべての患者は、リアルタイムの経直腸的超音波ガイド技術を使用して移植されました。
1990年6月にすでにリアルタイムによる術中計画法で小線源治療が行われていることになる。

Alice Y. Ho,氏の論文で参照されている以下の論文はブログの記事でもリンクしたものだ。
Int J Radiat Oncol Biol Phys.1995 Apr 30;32(1):219-25.

今回あらためて、full textをながめたが、とても理解できるものではなく、すぐにPDFファイルを閉じた。

黒薮さんのいうマウントサイナイメソッドを改良したのが岡本メソッドだとするならば、リアルタイムによる術中計画法の開発時期は著書で誤って記述されていたとしても7年と10年との違いはあるにしてもPSA非再発率をみる限り、何等かの改良がなされたということは多分にいえるかもしれない。

ただし、所属していた滋賀医科大で継続して岡本氏の患者をフォローし、10年PSA非再発率の論文は書かれることはなく、岡本氏が開発したメソッドで治療が継続されることはなかった。
臨床成績の結果報告の論文のみが残っただれも継承されない術式(それ自体も論文としてはいまだに発表されていない)であり、厳しい言い方をすれば徒花だ。

それを愛でた人は多くても再び、咲いた姿をみることはない。

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