日本における骨転移を伴うホルモン未投与の前立腺がんに対する放射線腫瘍医の態度と放射線療法の実践パターンを調査した論文である。
公益社団法人日本放射線腫瘍学会の放射線治療専門医に対して調査を行い、その結果をまとめたものだ。
1013名のうち、373名(36.8%)が回答があった。その結果は以下のとおり。
85.0%:状況によっては、放射線療法が骨転移を伴うホルモン未投与の前立腺がんの一次治療として適用できる可能性があるという回答。
症例1(骨転移1つ)の場合:55.0%が前立腺および骨転移に対する放射線療法を推奨
症例2(骨転移3つ)の場合:すべての病変に対して24.4%のみが放射線療法を推奨し、31.4%が前立腺のみに対して放射線療法を推奨
症例3(複数の骨転移)の場合:49.1%が放射線療法の適応がない。
34%は、依然として前立腺に放射線療法を施すことを好ましいと回答。
調査したうちの回答者が半分以下というなかでの報告ではあるが、意識の高い放射線治療医は骨転移であっても放射線治療の有効性を信じているようだ。
OMCE 2021 赤倉氏の講演で紹介したごく最近でたばかりのAdnan Ali 氏を筆頭著者とする論文、JAMA Oncol 2021 Feb 18.では骨転移4つ以上の場合、ホルモン治療に放射線治療を追加することで生存率に差がないというランダム化比較試験の結果が報告されている。
複数の骨転移が4つ以上の骨転移ということであるならば、このAli論文の結果をどう捉えるだろうか。
放射線療法の適応がないと答えた49.1%の医師は多分に臨床経験からそういっているのだろう。
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