もし再発した場合、ホルモン治療はいつまで効果あるのか関心があった。その際、藤野邦夫『前立腺ガン最善医療のすすめ』実業之日本社 P.130~131の以下の記述は一つの安心材料だった。
低リスク群と中リスク群の患者でホルモン療法が6ヶ月以内にPSAが0.2未満になる患者を高反応群とし、そうでない患者を低反応群として、高反応群の患者の8年疾患特異的生存率(前立腺がんで死ななかった比率)が98.9%ときわめて良好だったという日本の発表がある。それはホルモン治療実施後、4か月でPSAは0.022となたので、高反応群だということからだ。
藤野さんの本は一般書なので、具体的にどのような研究によるのかは書かれていない。それで、少し調べて、サイトにホルモン療法による根治の可能性という記事を書いた。
そこで以下の論文を紹介した。
1.並木幹夫他 ホルモン療法による根治の可能性 泌尿器外科 , 18(11): 1307-1313 2005
2.並木幹夫 ホルモン療法の位置づけ 泌尿器外科 , 18(増刊): 435-436 2005
サイトの記事では1.から文を引用しているが、ここでは2.から引用しよう。こう書かれている。
わが国では早期前立腺癌に対しても,ホルモン療法は主に高齢者を中心に用いられており,比較的良好な成績を得られることも経験的に知られている。8年と10年と違い、値も少し違うが、この研究によるのでほぼ、間違いないだろう。
特にGleason scoreが7以下かつ治療前PSAが20以下で,ホルモン療法開始後6ヵ月以内にPSAが0.2未満まで下降した症例では,疾患特異的10年生存率は99.0%と極めて良好であり,
一次治療としてホルモン治療を選んだ場合の長期の推移を追ったものとして貴重なものだ。現在は高齢者以外は多分に根治治療を選択する場合が多いかと思う。
1.に書かれている「過去10年間に全国7施設(筑波大学,昭和大学,群馬大学,岐阜大学,三重大学,大阪府立成人病センター,金沢大学)および,その関連病院でホルモン単独療法を行ったTlc-3の前立腺癌981例が対象」の研究の結果が「図7 各患者グループによる癌特異生存率」にまとめられており、8年生存率も同じく99.0% である。
4つのグループの生存率を転記しよう。
グループA:GS≦7 PSA≦20ng/ml 0.2ng/ml以下への到達期間≦6ヵ月
グループB:GS≦7 PSA≦20ng/ml 0.2ng/ml以下への到達期間 >6ヵ月
グループD:GS >7 PSA≦20ng/ml
グループE:GS >7 PSA >20ng/ml
8年癌特異生存率
A 99.0%
B 94.2%
D 84.3%
E 75.8%
ブログ村に参加しています。ランキングのクリック、よろしくお願いいたします。

にほんブログ村
この記事へのコメント