水は血液をサラサラとしない

水は決して血液をサラサラとするわけではなく、一日全体として所要の水をとればいいということのようだ。

頴川晋『あぁ、愛しの前立腺』小学館に夜3回トイレにいき、困っているという人に関してこう書いている。
P.77
泌尿器科の間ではこうした頻尿の症状を「健康番組病」とひそかに呼んでいます。
この方もそうでしたが、夜間に頻繁にトイレに行く理由を探っていくと、夜寝る前に緑茶を飲んでいました。緑茶には利尿作用がありますから、当然寝る前に飲めば、トイレは近くなります。なぜそんなことをしたのかとお尋ねすると、「健康番組で、寝る前にお茶や水を飲むと、血液がサラサラになると言っていた」ということです。
P.78
しかし医学的には、コップ1杯の水で血液がサラサラになるというのは、まったく根拠がありません。そんなことで血液が劇的に改善されるなら、医者は必要ありません。ですから泌尿器科医は皆、そういう悪習はやめてほしいと思っています。
渋谷秋彦『気持ちいいオシッコのすすめ』現代書林には以下のように書かれている。
P.137
夕食後(寝る前)は、水分補給はしなくてよい

1日に2リットルの水分補給は、原則的に夕飯までと考えます。夕食のあとは、もう水分は摂りません。それは夜間にオシッコで起きなくて済むようにです。就寝中に2回以上オシッコでトイレに起きることを「夜間頻尿」と言いますが、患者さんの多くは寝る前にわざわざ水分を補給していて、「夜間多尿」になっている方も多いです。これは「夜間は汗をかくし呼吸からも水分は失われるので、脱水症状を起こしやすい。体の水分が不足すると血液が濃くなって、ドロドロになって、心臓発作や脳卒中を起こしやすい。だから寝る前には十分に水分を摂っておくこと」という健康常識があるためでしょう。
前項で紹介した「1日2リットル」の飲み方を昼間実践できていれば、体のすみずみの細胞まで十分な水分が行きわたっていますから、寝る前に水分を摂らなくても脱水が起こることはありませんし、血液がドロドロになるようなこともありません。
関西医科大学附属滝井病院泌尿器科部長 室田 卓之氏の関西医科大学第10回市民公開講座にも同様なことが書かれている。
昼のワイドショーで「夜寝る前に水を飲んだほうがいい」「朝起きたらまず水を飲みましょう」「トイレの後には水を飲もう」などと放送された後、実行された方は多尿になります。泌尿器科医の間でその話が出て5、6年くらい経ちますが、一時期、実際には正常ですが夜間頻尿だと思って受診する患者さんがめちゃくちゃふえました。
………2016年5月26日の掲示板への投稿より

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