改めて上記論文のfull textをみてみた。こう書かれている。
現在、unfavorable intermediate-risk (UIR)症例を含む中リスク前立腺癌のほとんどの症例では、EBRTまたはADTを使用していません。論文の投稿は2019年9月24日だから、この現在といわれている時期は2019年9月以前と思われる。
腺友倶楽部主催のセミナーにおける岡本圭生氏の講演にも同様なことをいっていたかと思いブログ記事を確認する。腺友倶楽部主催のセミナーにおける岡本圭生氏の講演 その3で講演の発言を文字化していた。48分6秒付近での発言。
今私388例中間リスクで2例リンパ節転移があったということでありますけど、当初は中間リスクに関しましてはトリモダリティを使ったり、外照射併用したりしていましたが、今は小線源単独でやっている。線量をあげさえすれば大丈夫だから。倶楽部の講演は「前立腺がんセミナー 患者・家族の集い 2017 大阪」の動画を公開しました。 | 腺友倶楽部によると2017年10月9日に開催されたとのことなのでこの「今」というのは2017年10月現在ということだろう。
論文での併用と単独の割合を示したグラフをみると、2014-2016は単独が30%より少し多いということだったので、2017年に急激に中間リスクに対して単独のみでの実施にシフトしたと思われる。この時期を例の滋賀事件の事象とあわせてみてもいいが、今はその元気はない。
「388例中間リスクで2例リンパ節転移」という発言がきになる。論文では「397人の患者でPSA再発は遠隔転移のある症例でのみ観察され、リンパ節転移の2症例と骨転移の1症例」と書かれている。患者数は講演の際はきちんと整理されていなかったのだろう。骨転移は2017年10月の講演以降論文投稿までの間に骨転移となったのだろう。数少ない転移の患者の症例を誤って講演で発表するとは思えないからそう推定した。
もし講演の際にすでに骨転移が発生していていわなかったとしたら、それはそれで問題だと思う。
論文は2005年から2016年の間の患者が対象である。
ネット上の体験記 小線源単独治療 その2でフォローしている店主の前立腺癌治療記を書いている加藤尋士さんは2014年11月に滋賀医科大で小線源治療単独で治療を受けた中間リスクの患者だ。論文の患者の対象と思われる。
4年6ヶ月目の定期検診に書かれているやりとりは論文の作成時期を考えればよくわかることだ。こういう記述(長いが引用する)
以前に岡本先生からは、「小線源療法の治療後5年のPSA値は単なる参考で10年後までに上昇しなければ完治だ」 「あなたの場合は絶対に完治だからPSA検査をしても大して意味はない」 「ただ、治療データとして研究するために定期検診にきて採血してください」 と言われていた。 そこで河野先生に伝えたように地元の医院で検査したPSA値だけは御連絡しますと伝えたのだが、「そんなものには興味はないです」と、チョット驚くような返事が返ってきた。 滋賀医大の退職と新たなクリニックでの対応と忙しいだろうし、既に十分なデータがあるから絶対完治と確信している患者のでPSAデータを貰っても不要なのかもしれないが、さすがにその返事には「カチン」ときてしまった。論文のデータは既にまとめにはいっていて、それ以上のデータが要とはいっていない、すなわち、「治療データとして研究するために定期検診にきて採血」ということなので、その目的(研究のため)が終わったので不要とごく事務的にいったのだろう。極めて論理的、合理的なものいいである。
共著者として奥山 佳ほり氏の名前があげられている。滋賀医科大学の寄附講座にメモとして書いていたが、特任助教だった。今回の論文作成において統計関係含めサポートしたのだろう。高リスク論文に書かれていた東邦大学医学統計学部の村上義孝教授に対する謝辞は今回はない。多分に中間リスクの論文では前回のような誤りはないだろう。
「高用量シード移植技術に関する詳細なレポート」が寄附講座が存在している間に発行できなかったのは大学側が主張していた終わりの6か月間は論文作成をメインにし新規の患者を受け入れないということに関して滋賀医大に対し小線源治療施術継続の仮処分申し立てを行い認められ患者の治療を行っていたのが大きな理由と思われる。
「論文も出せていないのに、偉そうなことを言うな」という状況は続き、医学的には「岡本メソッド」は存在しないということは続いている。
医学は匠の世界ではなく、科学の世界なのだ。
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