手術と手術後のアジュバント放射線療法のランダム化試験

今までサルベージ放射線療法と術後アジュバント放射線療法の比較に関しては以下のブログ記事を書いた。
サルベージ放射線療法と術後アジュバント放射線療法の比較
サルベージ放射線療法と術後アジュバント放射線療法の比較 その2

昨年末、Google Scholar で検索しEur Urol,76 (5), 586-595 Nov 2019を見出し、サイトに紹介記事を書いた。
手術後の補助放射線療法実施と観察のランダム化比較試験

アジュバント群のほうが観察群よりPSA非再発率に関して優れていたという結果であり、それが顕著に違うのはちょっと驚きだった。full textのFig. 2 のAをみると一目瞭然だ。それがRCTとしてだされたことはある意義深い。早晩、ガイドラインに採用されるのではないか。

一カ月以上経って、ブログに改めて書くのはこのRCTがまたはpT3aN0M0のみならず、pT2N0M0で断端陽性の患者を対象にしていることが手術後、PSA再発を待たずに放射線治療をするほうがいいのではないかということを認識したことを改めて書いたほうがいいのではと思ってのことだ。

ブログに引用したが、観察群でPSA再発した人は43人でそのうち37人がサルベージ放射線療法を受けたが、「28人の患者がPSA寛解を達成したが、9人は全身療法を必要とした」と書かれている。人数だけでいうとアジュバント放射線療法群では15人がPSA再発したので、とくにアジュバント放射線療法を行わずにPSA再発したときにサルベージ放射線療法をしたほうがいいのではないかと思うかもしれない。(副作用を考慮すると)
ただ、full text の結論に書かれている次の文は意味深長である。
Of note, more cases of metastatic disease and CRPC occurred in the observation (“salvage”) arm,
Google翻訳
注目すべきは、観察(「サルベージ」)アームで転移性疾患およびCRPCのより多くの症例が発生したことであり、
これは素人考えでは多分に経過観察している間にがんが進展しそのことが後の転移性疾患およびCRPCにつながったのではないかということが推察される。

pT3aN0M0(断端陽性の有無を問わず)またはpT2N0M0で断端陽性の場合はことPSA非再発を考慮すると術後アジュバント放射線療法を受けたほうがいいのでは思われるが、日本において実際上そのことが可能かどうか私は知らない。

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