小線源治療はどこへ

facebookの投稿よりTherapy of prostate cancerをしった。
topのスライドに腺友倶楽部の名前とURLが記載されているので、多分、このNature誌に掲載された記事を腺友倶楽部の誰かが翻訳し、倶楽部の名前でアップしたのだろう。
原著はProstate cancerだろう。"The declining art of brachytherapy"と"Keeping treatment options open "の二つの記事の翻訳と思われる。訳文はこなれている。

小線源治療は減少し、それに抗おうとする試みについて書かれている。

米国において小線源治療の減少に関してはABSガイドラインおよび小線源治療はどこへで書いた。

スライド3では「ABSガイドライン」で紹介した Martin 氏の論文、Cancer. 2014 Jul 15;120(14):2114-21.を参照してこう書いている。
2002年、米国の前立腺がん患者の17%が小線源療法を受けましたが、 2010年には、その数は8%に減少しました。
論文の16.7%を四捨五入して17%と書いている。さらにスライドの説明では以下の記述。
減少の原因は、より新しい治療法の浸透のための保険点数の政策よるところもあります。
これは小線源治療はどこへで「制度に関わることなので省略」した第3の理由であろう。原文は以下のとおり。
Third, reimbursement for IMRT is markedly higher compared with that for brachytherapy.
日本ではどうかというと東京医療センターの斉藤史郎氏他の論文には以下のように書かれている。
治療開始後,実施施設および年間治療件数は毎年増加していたが,治療件数は2011年をピークにこの3年間は低下傾向にある.また,ここ数年間は新たに治療を開始する施設はなく,逆に治療をやめてしまった施設も少なくない.治療をやめた理由は様々のようだが,症例数が極端に減ったり,放射線科医が転勤で不在になったなどの理由があるようである.さらに症例数が減少傾向にあるのは,全国でロボット支援前立腺全摘術が増加しているためと考えられる.
なお、このNatureの記事は4つの組織のスポンサーによるものである。
TRI Advances
J-POPS 前立腺癌密封小線源永久挿入治療研究会
NMP社
東京医療センター

例えばKeeping treatment options openの記事の終わりにはこう書かれている。
この記事は、Nature Outline:Prostate cancerの一部であり、第三者の財政的支援を受けて作成された、編集上独立した補足です。
Nature に載った記事ということで信頼性のあるものだという誤解を与えるものかもしれない
。私のように原文を確認しない限り。

スライドの最後の文、「訳者のまとめ」は倶楽部が訳した意味合い及び主張を書いている。長くなるが引用しよう。
前立腺がんの患者さんには、現在、数多くの治療選択肢があります。最も確立さ れた治療法の一つとして、放射線療法の一種である、小線源療法があります。こ の治療法は、前立腺がん治療に於いて、極めて優れた治療法です。しかし、この 治療法の利用は、減少傾向にあります。 その理由は、1.治療よる、病院の収益率が低いこと。2.技術的要求度が高いこと。 3.どの治療法であっても、全生存率はあまり変わらないこと。 小線源療法の術後の生化学的非再発率の高さ、そして、術後のQOLを高さを考え ると、小線源療法を選択肢の一つとして維持していくために、患者を含め多くの 人が声を上げることが必要なのではないでしょうか。
この主張に対してこういおう。優れた治療の実施数は決して減少することはない。患者に選ばれないことはすなわちそう優秀でない治療ということであり、衰退していくのもやむを得ない。

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