新著で記述がなくなったのは藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その2 - 前立腺が動くから外照射は不正確?で引用した3か所にも及ぶ前立腺が動く臓器だから外照射は正確さということで制約をうけるということだ。P.154には次の記述は前著と同様にされているが、その後、だから外照射は不正確ということは書かれていない。
前立腺が下腹部の奥深くて狭い位置で周囲の器官や組織にかこまれていること、呼吸や会話とともにたえず動くこと、膀胱と直腸の量によっても位置をかえることなどです。この文章のあと、IMRTの説明を行い、先に引用したゼレフスキーの言葉を書き、IGRT(トモセラピーの説明を含む)を紹介しさらに寡分割照射の結構詳しく説明している(3ページ強)。定位放射線治療、粒子線治療の説明が続く。
そうして、P.173より「ブラキセラピーとはどんな治療法か」と題された文である。「もっとも確実で安全な前立腺がんの治療法」という副題で文は進む。以下P.173の文
14年間で3000例以上の前立腺がんを治療してきた国立病院機構東京医療センターの萬篤憲・放射線科医長は、16年1月の「がんサポート」誌で「もっとも狙い撃ちができる究極のピンポイント照射は小線源です。ほかの臓器をまもれます」といっています。この「がんサポート」の記事は治療回数を減らす寡分割照射法で引用紹介したものだ。この記事中萬氏は「ピンポイント療法」といっていて決して「ピンポイント照射」とはいっていない。放射線治療の照射法での小線源の優位ということをいいたいがためにあえて誤引用したのだろう。そもそもこの言葉は私の参加している寡分割照射の臨床試験の紹介記事のなかで唐突に書かれている「囲み記事」のなかの文である。藤野さんは当然そのことはしっていての引用紹介だろう。寡分割照射の場合、所定点数に増加加算(1回の線量が2.5Gy以上)で書いた保険点数加算のことは藤野さんはご存知ないかあえて無視したのかこの「がんサポート」の記事中の寡分割照射の問題点をそのまま寡分割照射の説明の終わりに書いている。P.164
日本では放射線治療は診療回数で保険点数をつけられています。つまり照射回数が少なくなると病院の収入がへるわけですから、赤字覚悟で実施できる大学病院などは寡分割照射を実施するでしょうが、一般の病院は二の足をふむかもしれません。これが「がんサポート」の萬氏の発言からということは書いていない。
新著では旧著の第1章で書かれていたHDR、小線源の治療例の記述がない。第1章は「10万人の前立腺がん患者と20万人の再発患者」という表題であり、手術の例を載せている。「前立腺の全摘手術の再発例」の3例を含む5例はすべて手術の場合の症例である。本の副題、「再発、尿もれ、EDを避けるために」というのが手術で起きがちなので避けましょうというのが事例で最初に示されるのが今回の特色だ。
小線源、HDRの事例をかいていないのは旧著よりインパクト劣るかなと率直に思った。
ブログ村に参加しています。ランキングのクリック、よろしくお願いいたします。

にほんブログ村
この記事へのコメント