情報提供の意図は明らかだ。岡本医師の論文で発表された5年PSA非再発率、95.2%は優秀な値ではあるが、傑出したものではないということを明らかにすることだ。
そうして小線源+外照射+ホルモン治療(トリモダリティ)だけが95%を超える治療結果となるのではないということを2017年〜2019年の論文より示したということだ。
さらに用語の説明で「5年生化学的非再発率(PSA非再発率):5年間でPSA再発しない確率」と記述し、"真の生存曲線"という誤解を避けるための説明だろう。
追跡不能患者がゼロということは通常ありえず、医学論文においてはがん患者さんの生存曲線は「カプランマイヤー法」という方法で描かれ、生存率が示される。
簡単な説明はサイトの「抗がん剤は効かない」の罪を参照のこと。
岡本氏の論文においてもKaplan Meier methodで計算されていると記述されている。また最短追跡期間は2年であり、患者全員が5年以上追跡されたわけではない。
比較表であげられている論文がサイトまたはブログで紹介されたかどうかみてみる。最初の弘前大のFujita氏の論文、Int Urol Nephrol. 2018 Nov;50(11):1999-2005. は最近は手術の論文は調べていなくて未紹介である。
二番目の群馬大の論文はブログで寡分割照射の論文(日本)その2と題して紹介している。
・PLoS One. 2019 Feb 26;14(2):e0211370.
治療法比較3に追記しなかったのは多分、低リスク 10人、中間リスク 37人、高リスク 45人と人数そう多くないからだろう。
重粒子線に関しては以前保険適用でなかったこともあり一切調べていないし、今後も言及することはない。
京都府立医大に関してはHDRとトモセラピーの比較でトモセラピーとHDRの比較の論文は紹介したが、Radiother Oncol. 2019 Mar;132:162-170.はみいだしていなかった。
この論文において小線源はT3b − T4は除外しているので、岡本論文におけるT3bは20人(14%)、T4は1人(1%)とは異なる。
-----以下6月18日に追記
一覧の弘前大の論文には(術前補助ホルモン化学療法併用)と記述されている。実際にどのような薬を用いたかabstractからは不明である。著者の Koie T より以前サイトに書いた古家氏の論文を思い出した。
手術単独治療と、手術前にLHRH agonist (ゾラデックスまたはリュープリン)とestramustine (エストラサイト)による術前療法を行った場合とを比較した論文であり、LHRH+EMPの5年PSA非再発率は90.4 %という結果を報告している。
「術前補助ホルモン化学療法併用」はゾラデックスまたはリュープリンとエストラサイトを併用したものであろう。
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