岡本メソッドとは? 二つの論文の比較

ビジネスジャーナルの岡本メソッドに関する記事と題してブログ記事を書いた。「岡本メソッド」という単語をビジネスジャーナルの記事の表題から使用したが、最初にその言葉を目にしたとき違和感があった。岡本医師が自称しているのではなかろうが、最近は人口に膾炙している。とはいって以前から使われているものではなく、多分最初に使ったのは2018年8月1日に患者4人が説明義務違反を理由とする損害賠償請求訴訟を提起した際の弁護団長 井戸謙一氏の説明要旨だろう。
"滋賀医大事件記者会見説明要旨 - 滋賀医大小線源患者会

こう書かれている。
2004年には、アメリカニューヨーク州のマウントサイナイ医科大学を中心に、リアルタイムによる術中計画法及び辺縁配置法が開発され、高い精度でシード線源を前立腺に配置できるようになりました。

滋賀医科大学では、当時泌尿器科に所属していた岡本圭生医師によって、2005年から小線源治療が始まりました。その後、岡本医師は、マウントサイナイ医科大学のノウハウを習得し、これを更に進化させた岡本メソッドを確立し、大きな成果を上げるようになりました。
マウントサイナイ医科大の術中計画法及び辺縁配置法については有害事象でリンクしたリアルタイムによる辺縁配置法 & EBRT併用療法での次の記事に詳細が書かれている。

前立腺癌シード療法における 術中計画法
慶應義塾大学医学部 放射線治療科 大橋 俊夫
国立病院機構埼玉病院 泌尿器科 門間 哲雄

Mount Sinai Group 原法 (1)、Mount Sinai Group 原法 (2)という記述がある。

岡本医師がどのような改良をしたかはいまいちよく分からない。
それは「前立腺がんセミナー 患者・家族の集い 2017 大阪」での講演の30分32秒付近から言及されている10のステップに関係しているのだろうか。
そのステップはGoogleで"岡本圭生"で検索してみいだした局所再発ゼロを目指した前立腺癌小線源療法とそのテクニック 10のステップによるインプラントプログラムに示されたものだろうか。内容に関してはあまりに専門的なのでよく分からないが、「優れた方法とその実践のために」の項に興味ある記述がなされている。
Interactive Intraoperative Seed Implantation (術中計画法)では、放射線治療医と泌尿器科医の間でInteractionを行い、個々のシードデポジットごとに変化する線量分布をリアルタイムで術中計画に反映させることが要求される。
この治療方法における放射線治療医と泌尿器科医の関係はあたかもオーケストラの指揮者とコンサートマスターが楽曲のコンセプトを相互に理解して演奏を作りだすのに似ている。

逆に、泌尿器科医が放射線治療医の指示のままに線源を挿入している状態では良いインプラントはできない。Interactive roleを果たすためには、放射線治療医と泌尿器科医の双方が高いレベルの小線源療法を熟知する必要がある。
放射線治療医の役割も大事だということのようだ。術中計画法、辺縁配置法においてどのような改良がなされたのか当方に理解する素地がないので本件についてはこれ以上しらべはしない。

3. 滋賀医科大学でおこなっている前立腺癌小線源療法の特徴について | 前立腺癌小線源治療学講座で書かれている「超高線量照射」ということが具体的にどうなのか治療法比較3に載せた二つの論文を比較してみる。

A 筆頭著者:滋賀医科大 岡本圭生
B 筆頭著者:慶應義塾大 大橋俊夫

A 2005年から2013年までに滋賀医科大で治療された143人の高リスク患者
B 2003年から2009年に東京医療センター及び独立行政法人 国立病院機構 埼玉病院で治療された206人の連続する高リスク患者
Aは外照射、小線源、ホルモン治療の三者併用治療
Bは外照射小線源併用治療であり、111人の患者(49.0%)がネオアジュバントホルモン治療を受けたが、アジュバントホルモン治療は無し

D90(Gy):前立腺体積の90%に照射された最小線量
中央値(範囲)
A 133.1 (95.7-153.9)
B 124.8(100.0 - 206.5)

BED
A 220.9(185.5 - 236.4)
B 213.5(178.5 - 245.5)

5年PSA非再発率
A 95.2%
B 84.8%

PSA再発数、割合
A 6人(4.2%)
B 30人(14.6%)

確かに滋賀医科大のほうがBEDは高い。そうしてPSA非再発率も良好である。
6月末で治療が終わるのは残念なことではある。

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