前立腺生検後の合併症

今朝、PSA検査 生検の記事に慈恵医大の青木氏のインタビュー記事と伊藤一人氏(群馬大(当時))の記事を追記した。伊藤さんの記事は「有効性評価に基づく前立腺がん検診ガイドライン」を直接には批判していないが、分担研究者を辞めるに至ったことが分かる前立腺がん死亡率低下効果を証明したRCTに対する見解である。

なかで以下の記述が興味深かった。
実臨床では,生検の施行にあたり,PSA値と他の所見を併せ,がんの危険性をより正確に受検者に情報提供し,また対象者の年齢・ 全身状態・合併症について考慮に入れたうえで, 専門医が生検の必要性を説明し,最終的には医師と患者間の合意のうえで実施について判断している.
当たり前ではあるがやみくもに生検をしているわけではない。さらにPSA検査 生検でも参照した香川大学の筧善行氏を筆頭著者とする論文、Int J Urol. 2008 Apr;15(4):319-21.を参照して次のように書く。
排尿に関する症状で治療を要したものは0.8%, 重篤な合併症としての敗血症は0.07%と頻度は少ないことがわかっている. 合併症として最も重篤な死亡亡は0.0005%とまれであり, 他のがん検診の精密検査(上部消化管(内視鏡治療・ 生検を含む) :0.0076%,大腸内視鏡検査:0.0009%,気管支鏡検査:0.0065%)と比較しても, 決して危険性が高い検査ではない.
改めて筧氏の論文のfull textをみてみる。表1. 前立腺生検後の合併症にまとめられていて以下に転記する。

出血性
 肉眼的血尿 12.00%
 直腸出血   5.90%
 血精液症   1.20%
感染性
 発熱(≥38°C)1.10%
 精巣上体炎   0.06%
 前立腺炎    0.90%
 膀胱炎 0.09%
 敗血症 0.07%
排尿
 排尿困難 1.90%
 尿閉   1.20%
 尿意切迫 0.65%

そうして結論として以下のように書かれている。
前立腺の現代のTRUSガイド下の体系的生検は日本で安全に実施されています。それにもかかわらず、血尿、直腸出血および血精液症を含む軽微な合併症はまれではありません。発熱や敗血症などの大きな合併症は一般的ではありませんが、危険で生命を脅かす可能性があります。したがって、患者は前立腺生検に続発する罹患率について適切に知らされる必要があります。
2回目の生検の後、血尿があり、それはほどなくおさまったが、発症率からみるとありがちなことだと改めて認識した。

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