滋賀医科大と東京医療センターの再発についての比較

リンクしているブルーコバトン さんのブログ、前立腺がん治療日記の以下の二つの記事を興味深く読んだ。
岡本メソッド治療結果の素朴な疑問 2018年12月03日
中間リスクの骨転移(閲覧注意) 2018年11月24日

2018年12月03日の記事は滋賀医科大の岡本医師の小線源治療を受けた患者が「骨への転移が治療前に転移したものか、治療後に転移したものかを判定するのは難しいのではないか」という素朴な疑問を呈し、それについてSANZOKUさん他のコメントが書かれ、ブルーコバトンの書き込みもあったが、いまいち議論がかみ合い、進展したとは思われない。
当ブログでは、別の観点からブルーコバトン さんの書かれたことに関連して書いていこうと思う。エビデンス レベル をとりあえず意識しないいささか乱暴な話になるかとは思うが。

2018年11月24日の記事でラジオNIKKEIで放送された滋賀医科大の岡本医師の番組のオンデマンド音声、前立腺がん小線源治療について(2018.9.27放送)|ラジオNIKKEIを参照していたので、文字起こしをしてみた。
・5分45秒〜
5分40秒〜
13年間1000例の前立腺がんの患者のうち再発された患者は現在20例のみです。
再発された患者のほとんどは診断時は明らかでなかった骨転移が明らかになった。
・7分45秒〜
これは高リスク、超高リスクの患者143 人の治療成績を報告した論文、J Contemp Brachytherapy. 2017 Feb;9(1):1-6.より値をいっている。論文より該当の部分を引用しよう。(超訳)
PSA再発した6人の患者は、骨転移により臨床的に失敗し、5年臨床的非再発率は93.0%だった。
滋賀医科大においては再発ニアリー イコール 骨転移ということが語られていてそのことに関してブルーコバトン さんが記事を書いたということだ。

サイトの治療法比較3の一覧表での6 の矢木康人氏の東京医療センターの治療成績を報告した論文と比較してみる。
5年以上経過観察が可能であった990例が対象である。全体のPSA非再発率、臨床的非再発率は以下のとおり。
PSA非再発率
5年 95.4%
9年 91.0%

臨床的非再発率
5年 96.2%
9年 92.4%

さらに以下のように書かれている。
PSA再発した症例は990例中64例(6.5%)であり,再発例のうち局所再発(テンプレートを用いた経会陰的生検にて癌陽性)は15例(23.4%),遠隔転移は26例(40.6%),局所再発+遠隔転移は3例(4.7%),不明(テンプレート生検も画像所見も陰性もしくは今後予定されているもの)は20例(31.3%)であった.
PSA非再発率について滋賀医科大と東京医療センターを比較してみよう。ラジオNIKKEIでPSA非再発率のグラフを示していてそれは3. 滋賀医科大学でおこなっている前立腺癌小線源療法の特徴についてと同様である。全体の5年PSA非再発率、臨床的非再発率を比較してみる。(滋賀医科大の場合、ほとんどという表現であるが、数値は分からないのですべて骨転移したとみなす)
5年PSA非再発率
滋賀医科大 97.4%
東京医療センター 95.4%

臨床的非再発率
滋賀医科大 97.4%
東京医療センター 96.2%

再発の数の割合
滋賀医科大
PSA再発
20/1000 = 2%
遠隔転移
20/1000 = 2%

東京医療センター
PSA再発
64/990 = 6.5%
遠隔転移
(26+3)/990 = 2.9%

東京医療センターの場合は9年の場合であり、直接比較は適切ではない。
さらに遠隔転移といっても骨転移の割合がどの程度か分からないので、これも比較は難しい。

滋賀医科大の場合、ただ、再発 = 骨転移ということを覚悟して治療に臨むのはやはり、患者にとって酷なものであるということはいえる。(低リスク、中間リスクの場合)
こういった点よりブルーコバトン さんはブログに表題として「中間リスクの骨転移(閲覧注意)」という幾分刺激的なものを採用したと思われる。

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