東大病院放射線科で治療に従事していた加藤大基氏が病院を辞めて非常勤で勤務していた病院で胸部レントゲンで左胸部に丸い影をみつけ東大病院で肺がん治療を行ったことを書いた本だ。
上司であった中川恵一氏に本を書くことを勧められ、結局共著としての出版になったとのことだ。
医師自らが読影でがんの疑いをみいだし、確定し治療を行っていく過程は稀有な記録だと思った。
医師としての客観的な見方よりもともすると患者の安易な希望に傾いていくというのはそれはそれで納得する話だった。
例えば、P.22の以下の記述
闘病中に怪しげな治療や呪術などに傾倒する人の気持ちがわからないでもなく感じました。共著者の中川恵一氏は第四章 加藤君の闘いの意味 という表題で書いている。その中で印象に残った文、少し長いが引用する。
P.139加藤氏は現在、社会医療法人財団 石心会 川崎幸病院 放射線治療センターの副部長をしている。
がんは、転移するようになると、手がつけられません。転移をしてしまったがんは、大腸がんの肝臓転移など、一部の例外を除いて、基本的に治癒できません。ちなみに、がんの治癒とは、治療のあと5年経っても、再発していない状態を指します。5年生存率が治癒率と同義として使われます。ただし、乳がん、前立腺がんなどの、進行がゆるやかながんは、5年後にも再発することがあり、10年生存率が使われます。乳がんなどは、治療後20年して再発することも珍しくありません。治りやすいがんは、いつまでも再発のリスクのあるタイプでもあります。
P.142
がん治療法には多くの選択肢がありますので、その中から利益と副作用を勘案し、患者さんの価値観も踏まえて、自ら選択する必要があります。治療には基本的にはすべて「副作用」、「合併症」、あるいは「後遺症」を伴います。両者の良いところと悪いところを勘案して治療法を選択する必要があります。医療側は基本的には最大限の効果が期待される治療をすすめますが、その利点と欠点に関する説明を聞いた上で、患者さんが自らの価値観によって判断するのが理想的な医療の形です。そのためには、患者さんが、正しい選択を行うだけの情報を持っている必要があります。
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この記事へのコメント
さっちゃん
早速 本を読むことにしました。