高リスクで手術を受ける良い候補者は?

サイトに長尾一公氏の論文__Yamaguchi Uro-Oncology Group の報告という記事を書いた。

掲示板での2018年5月1日で紹介した論文に関する記述に少し追記したものだ。
山口大学病院の近辺の17病院の計315人の患者の治療結果を考察したものだ。高リスクに対して手術はあまりお勧めではないといわれているが、高リスクに対して手術しても結果がいい場合もあり、どのような場合が好結果となるのか予測できればそれに越したことはない。

リスク分類はD'Amico であり、T3以上は含まれていなかった。full textをみると手術後pT3a以上は74人もおり、やはり浸潤無しといわれていてもそうでないという結果になる人はある一定数ある。断端陽性は97人であり、当然、PSA再発した人、63人より多い。
5年PSA非再発率は70.0%だった。

解析結果として以下の二つの因子の数によりPSA非再発率が大きく異なるという結果となった。
・Gleason score (GS) ≥ 8
・陽性率 ≥ 30%

この因子の数により以下の5年PSA非再発率となった。
0 88.7%
1 64.4%
2 35.2%

これをみる限り、高リスクであっても陽性率が30%未満でGSも8未満であると高いPSA非再発率が期待できる。
もちろん、315人という数は十分なのかどうかは私には分からないが、その結論は分かりやすい。

-----以下2018/05/24に追記
昨日書いてみたがサイトの記事とそう変わらないので少し書きたす。
山口大学医学部附属病院でIMRTで治療された患者100人が比較の対象としてあげられていた。
5年PSA非再発率は90.2%であり、手術よりはいい。さらに患者属性に関しては次のように書かれている。
100人の患者を有するIMRTコホートにおいて、年齢、PSA、PSA密度、生検でのGS、および患者の臨床段階は、我々のRPコホートにおける対応する値よりも有意に高かった。
高リスクの場合、IMRTを選択するほうが無難ということはいえるかもしれないが、上記の二つの因子が無い場合は手術という選択もありかなと思った。

各因子の数によって 0:favorable、1:intermediate、2:poorと定めて手術とIMRTに関してのPSA非再発率のグラフは興味深い。そもそもIMRTはfavorableが9人と少ないこともあって、手術のような良好な結果となっていない。数の問題なのか手術とIMRTの違いによるか定かではない。

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