腺友倶楽部主催のセミナーにおける岡本圭生氏の講演 その3

滋賀医科大の岡本圭生氏は講演において2回、PSA非再発率のグラフを示して話をしている。
1.15分5秒付近
2.47分26秒付近

このグラフはどの論文からの引用かを検索し見出すことができた。
Eur Urol. 2013 Dec;64(6):895-902.full text

ただ、講演ではこの論文は「ニューヨークのZelefskyという先生」の研究といっているが、Zelefsky 氏はfirst author ではなく、last author である。英語論文: オーサーシップについてをみると「普通は研究室のボスがなる」ということで説明と矛盾はないだろう。またメール アドレスが公開されているのcorresponding authorでもあるだろう。
ただ、提示されている論文名の画像は不鮮明で言葉の並びからみいだした論文とは異なるが見出した以下のグラフは提示されているものと a という表示含めまったく同じなのでこの論文で間違いないだろう。
Fig. 1

論文の概要についてはサイトのZumsteg 氏の論文__中間リスクの階層化に書いた。

そもそもなぜ最初は論文名を目をこらして検索しようと思ったのかというと岡本氏が1.での説明で中間リスクでGS 3+4 と4+3 でPSA非再発率で再発率で差がでたといっているが、グラフをみると「Favorable が最初は424人、Unfavorable 600人」と明示されているからだ。

中間リスクのFavorable、Unfavorable での細分化についてはサイトの中間リスクの細分類で知っていた。
すなわち
NCCNリスク分類の中間リスク を以下の定義で2分化する。

favorable
以下のすべてを満たす。
・中間リスクの因子を1つだけもつ
・GS 3 + 4 = 7 以下
・陽性率 50%未満

unfavorable
上記以外

このような定義があるにも関わらず、GS 3+4 と4+3 と書き説明する。詳しい説明をしても分からないだろうから、元の論文の意図、favorable 中間リスクとunfavorable 中間リスクでは差があるということを示すグラフを意図的に間違えて説明する。とても医学者と思えない。
医学者というのが間違った思い込みで臨床医師と思えばいいのだろうか。しかし、英語で論文は発表している、患者に対する講演会ということで高を括っているのだろうか。
元の論文など参照されるわけない、もし参照されても大したことないという意識だろうか。
私には分からない。

岡本医師がGS が3+4 として説明しているのはfavorable 中間リスクであり、GS 3+4 で ある患者がすべてfavorable 中間リスクではない。Table 1 には各々のリスク因子で何人の患者がいてどちらに分類されたか明記している。
GS 3+4 で favorable 中間リスク は271人、unfavorable は284人である。
例えば、3+4 でPSA 10 の患者はunfavorable である。このように論文の研究結果を考慮することなくGS 3+4 は治療結果がよく 4+3 はよくないという印象を醸し出しているだけだ。

それではなぜこのような意図した間違いをしたのだろうか。そえは2.の後の説明をみると分かる。
48分6秒付近でこういっている。
今私388例中間リスクで2例リンパ節転移があったということでありますけど、当初は中間リスクに関しましてはトリモダリティを使ったり、外照射併用したりしていましたが、今は小線源単独でやっている。線量をあげさえすれば大丈夫だから。
すなわち、岡本医師の病院での小線源治療は GS 3+4 4+3 の区分など問題ないということを暗示したいがためのグラフである。

確かに中間リスクでPSA再発は2/388 と極めて稀な例ではあるが、それがリンパ節転移となる因子分析はされていない(多分)のでどのような人がそうなる可能性があるかは分からないということだろう。

ブログ村に参加しています。ランキングのクリック、よろしくお願いいたします。
にほんブログ村 病気ブログ 前立腺がんへ
にほんブログ村

この記事へのコメント