書かれている図表は表は大半が群馬大学の伊藤一人先生の協力で作成されたものとのことだ。最初に書かれている以下の思い出話は興味深い。
私は1985(昭和60)年に医科大学を卒業して泌尿器科医となったが、その時の前立腺がんの印象を話すと、ほとんどの症例が診断時に既に骨転移があり、当然根治療法ができないので、行われるのはもっぱらホルモン療法(当時は除睾)のみであり、あまり工夫の必要がないがんという印象であった。この状況がPSA検査によって変わったということだ。
PSA検査であげた米国のPLCO研究、欧州のERSPC研究の結果についてもふれられている。検診を受けてもほとんど死亡率に差がなかったPLCO研究に関しては「スクリーニングを受けない群に割り当てられたのに結果としてスクリーニングを受けてしまった人が多く含まれておりその点が問題にされている」と書かれている。
死亡率だけではなく転移がんの現象をあげ、以下のように書いている。
臨床的には転移がんが減ることも意義が大きい。その点にも考慮してPSA検診の意義をとらえるべきであると考える。影山氏のあげている埼玉県立がんセンターの転移がんの3例はかなり厳しい状況である。全員、2010年12月緊急入院という文言で終わっている。
がん対策基本法の一部にある「74歳以下の死亡率を減らす」という前提があることははじめて知った。去年はじめて対策型検診で胃の内視鏡検査を受けた。無料ではなく1000円だった。現役時に行った効果が定かでないX線検査と比べるとより楽ということはいえないが、まあ安心の検査だった。
PSA基礎値という考え方があるということだ。
加齢による影響が少ない40歳前後で一度PSAを測ることで、前立腺がんにかかる可能性の高い集団を選別できるという考え方である。PSA基礎値にはあまり人種差がなく、世界中で導入されつつある。前立腺がんは遺伝の影響あるということなので、長男にこの情報は伝えようと思う。
日本泌尿器科学会でもPSA基礎値が1ng/ml未満であれば検診間隔を延ばしてもいい、あるいはそれを超えていれば1年後にまたやりましょうというガイドラインが出されている。
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