1. 転移癌の治療 投稿日:2017年10月6日
2. nkyosiさん 投稿日:2017年10月8日 nkyosiさんの転移癌の治療と題した投稿に対するreply
しばらくこの件に関しては特に何もしていなかったが、少し調べてみた。
放置していたのは1.のfull text が有料だったことも理由の一つである。
2. の投稿で示された順天堂大の村上康二氏の講演の動画で参照された論文についてはサイトに177Lu-PSMAということで簡単に紹介した。
1.は以下の論文の紹介であり、今はfull textも参照できる。
・ J Nucl Med. 2017 Oct;58(10):1624-1631 full text
漂流さんは投稿でFIGURE 2. の図を転載している。
この論文は表題にあるように225Ac-PSMA-617 治療の「経験的用量発見」ということである。
患者は14人で以下のように治療された。
50 kBq/kg 4人
100 kBq/kg 4人
150 kBq/kg 2人
200 kBq/kg 4人
FIGURE 5 にどのような結果になったか示している。
以下、和訳はGoogle翻訳による。
図の説明
(赤:患者が再評価前に死亡した;オレンジ:PSA進行;緑:イメージングまたはPSA応答)および耐え難い毒性(赤:角膜乾燥;オレンジ:口内乾燥症G2;緑:G1口腔乾燥症のみまたは無し)。反復治療の間、4ヶ月間隔で不十分なPSA応答が観察された。結論には以下のように書かれている。
結論:進行期の患者では、1サイクルにつき100kBq / kgの225 Ac-PSMA-617の治療活性が8週間ごとに繰り返されると、毒性と生化学的応答との間の合理的なトレードオフが生じる。この論文は漂流さんの書いている「前立腺がんの転移癌の治療成績を示した論文」でないことは明らかである。本文のDISCUSSION には以下のように記述されている。
最近、ドイツの多施設共同研究は、177 Lu-PSMA-617(2)で治療された患者のサブグループについて有望な初期結果を報告したが、40%の患者はPSA反応を全く示さなかった。(2)で参照された論文は12の治療センター、145人の患者が対象である。患者は14人はやはり患者数として少ないといえる。
重度に前処置された患者のコホートにおける生化学的または放射線学的応答の高い割合はすでに有望である。それにもかかわらず、患者数が少なく、治療法が多様であるため、177 Lu-PSMA-617 と比較して有効性についての議論を開始するのはまだ正当ではない。
この論文の筆頭著者は University Hospital Heidelberg の Clemens Kratochwil 氏で、先行する論文としてJ Nucl Med. 2016 Dec;57(12):1941-1944.が存在する。
この論文は患者2名について書いている。
J Nucl Med. の論文に関してはUromaster さんが転移性前立腺がんが、225Ac-PMSA-617の治療で完治!?という表題で2016年12月18日に書いていた。
この記事を角さんのブログ、2016年12月21日で紹介していた。
そのコメント1. 2016年12月21日 08:10でSulSupさんが次のように書いている。
理論的には、治療においてもかなり期待できますが、現実的にはPSMAを発現していない前立腺癌細胞も多くあると予想されますので、この2例の症例のようにすべてうまくいくとは限りません。話としてはこれで終わらず、ドイツのハイデルベルグ大学病院で治療を受けたtmyさんのコメント欄への書き込みがあった。
・2017年05月27日 ブログ記事のコメント
こう書いている。
以前話題になっていた、225Ac-PSMAについてですが、ハイデルベルグ大学病院に問い合わせたところ、海外の人でも臨床研究外で処置可能とのことでした。ただし、その前に、PSMA-PET/CTを撮って、PSMAが発現しているかどうかを確かめないと次に進めないそうです。さらにつぎのように論文の補足をしている。
完全に癌が消えた例は、80人中、例の論文の2例だけで、75%の人は、ここまで完全とは言えないものの癌が小さくなりPSAが減少したという報告もネットに出ていました。さらに以下の大学病院の予約のページも紹介している。
すごく強力な方法でなないのかもしれませんが、他に手がなくなった場合、予算的に余裕があったら、これに挑戦するのもありでしょうか?
2017年10月03日ブログ記事のコメントに治療報告をしている。
しばらくごぶさたしていました。ドイツで治療に専念していました。100kBq / kg での治療だったのだろうか。
psaは、600まで上がりましたが、Ac-psma1回目で、1ヶ月後82に下がり、2ヶ月後、38まで、下がりました。2回目を打って、日本に帰りました。
確かにSulSup さんのこの書き込みに対するコメントとして「現時点で日本で行えない治療について述べるのは控えていただければと思います。」というのは角さんのブログではその症状よりそのことはいえると思う。
しかし、治療に至る日本での治療の詳細、ドイツでの治療の詳細、その後の状況を知りたいと私は思う。
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