前立腺がんに罹ったから拳銃自殺 『ジャズメン死亡診断書』

小川隆夫『ジャズメン死亡診断書』シンコーミュージック・エンタテイメント を読んだ。
著者の小川氏は整形外科医で、マイルスの診察もし、リハビリの指導をしたとのこと。ジャズメンとの親交もあり、本の表紙には「医師・JAZZジャーナリスト」と書いている。

22人のジャズメンについて正式な死亡診断書ではないが、死因を記載し死んだ年齢(満年齢)の短い順に死の前の状況、そして伝記的な記述と演奏評をかいたものだ。死よりみた人生だ。

トロンボーン奏者のフランク・ロソリーノの項の最後 P.235にこう書かれている。
なお同じトロンボーン奏者で、この楽器における最高峰のひとり、J・J・ジョンソンも2001年2月4日に拳銃自殺で命を絶っている。こちらは前立腺がんを悲観しての自殺である。ジョンソンの享年は77だった。
J・J・ジョンソンは22人の中にはいっていないが、書かれているソニー・クリスの場合、特記事項に以下のように書かれている。
胃がんの宣告と鬱病が重なり、発作的に自殺したと考えられているが、強盗説、暴発説もあり、真相は現在も不明のまま
奥さんに拳銃で殺されたリー・モーガン、誤って撃って死んだレム・ウィンチェスター、米国の銃社会では簡単に拳銃による死を迎えるといえる。

以下メモとして死因、享年を転記する。

File No.01 前途洋々だった精鋭の死 スコット・ラファロ
死因:自動車事故(ラファロの居眠り運転)
享年:25

File No.02 雨上がりのターン・パイクに散った若き才能 クリフォード・ブラウン
死因:自動車事故(運転はリッチー・パウエル夫人で、パウエル夫妻も死亡)
享年:25

File No.03 ロックン・ロール・スーサイド ビヴァリー・ケニー
死因:睡眠薬自殺(酒と併用)
享年:28

File No.04 幻のヴァイブ奏者とロシアン・ルーレット レム・ウィンチェスター
死因:ロシアン・ルーレット(クラブに出演中、実弾が込められているとは知らずに発砲)
享年:32

File No.05 愛憎のもつれが招いた死 リー・モーガン
死因:射殺(出演中のジャズ・クラブで内妻に発砲される)
享年:33

File No.06 アルバート・アイラーの光と影 アルバート・アイラー
死因:溺死(20日間行方不明になったのち水死体で発見)
享年:34

File No.07 65歳に見えた34歳の遺体 チャーリー・パーカー
死因:心臓麻痺(胃潰瘍による出血と肝臓疾患も併発)
享年:34

File No.08 天才と狂気の挟間で ジャコ・パストリアス
死因:脳挫傷(揉み合いの末に転倒)
享年:35

File No.09 異国に散った前人未到の創造性 エリック・ドルフィー
死因:糖尿病(インシュリンによるショック死--母親の弁)
享年:36

File No.10 生まれながらのハンディキャップを背負って ミシェル・ペトルチアーニ
死因:急性肺炎
享年:36

File No.11 イギリス海峡に消えた愛国者 グレン・ミラー
死因:航空機事故(寒冷でエンジン凍結し、墜落したと考えられている)
享年:40

File No.12 聖者になりたかったサックス奏者 ジョン・コルトレーン
死因:肝臓がん(放置による)
享年:40

File No.13 不世出のシンガーが抱えていた暗い闇 ビリー・ホリデー
死因:肝硬変(長年にわたる飲酒と麻薬に肝硬変に腎不全も併発)
享年:44

File No.14 寡黙なトランペッターの不運な晩年 ウディー・ショウ
死因:腎不全(肺炎も併発)
享年:44

File No.15 生きる気力を失ったテナー・サックスの巨匠 レスター・ヤング
死因:肝硬変
享年:49

File No.16 悲嘆の末に選んだ道? ソニー・クリス
死因:拳銃自殺(推定)
享年:50

File No.17 時間をかけた自殺? ビル・エヴァンス
死因:肝硬変(肺炎を併発)
享年:51

File No.18 フランク・ロソリーノ
死因:拳銃自殺(ふたりの息子を道づれに自殺を図り、本人と長男が死去)
享年:52

File No.19 反骨精神を貫いた硬骨漢の最後 チャールズ・ミンガス
死因:筋萎縮性側索硬化症
享年:56

File No.20 ミュージシャンとして燃え尽きた日本公演 ソニー・スティット
死因:心筋梗塞(皮膚がんによる)
享年:58

File No.21 転落死した人気トランペッター チェット・ベイカー
死因:転落死(滞在のホテルから誤って転落)
享年:58

File No.22 不死身の<帝王>の病気と怪我 マイルス・デイヴィス
死因:肺炎と呼吸不全
享年:65

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