滋賀医科大 岡本圭生氏の論文 その2

滋賀医科大 岡本圭生氏の論文論文に2カ所誤りがあることを書いた。

今回、もう一つみつけた。
高リスクの因子を持つ患者の数がまちがっているか、患者属性を示すTable 1の値が間違っている。以下、そのことを示す。

患者の対象

NCCNリスク分類の高リスクに加えてT3b、T4も対象にしている。原文では以下の記述。
We also enrolled T3b-T4 disease in this study.

リスク因子毎の患者数、因子数の合計

患者総数は143人であり、Table 1より各々の数を以下に書く。
(1) PSAが20を超える患者 59人
(2) GS 8以上の患者 96人
(3) 病期がT3a以上の患者 91人

(2) は GS 8 は68人、9は 25人、10は 3人だから下記の足し算より96 人となる。
  68 + 25 + 3 = 96
(3) は病期 T3aの患者は 70人、T3bは 20人、T4は1人だから下記の足し算より91 人となる。
  70 + 20 + 1 = 91

(1)、(2)、(3) は リスク因子に該当する患者の数であるので、患者としては各々リスク因子は一人、一個なので、リスク因子の数の総計は下記の式より 246 となる。
59 + 96 + 91 = 246

高リスク因子数1,2,3の患者の数と因子数の計

高リスク因子の数による患者の数は以下のように記述されている。
The number of high-risk features were: 60 patients with 1 high-risk factor (42%), 61 patients with 2 high-risk factors (43%), and 22 patients with 3 high-risk factors (15%) including five N1 disease.
次のとおりである。

リスク因子1 60人
リスク因子2 61人
リスク因子3 22人

また、Table 2にも書かれている。

リスク因子 の総計は下記の計算より 248 となる。
  1*60 + 2*61 + 3*22 = 248

数値の相違と間違いの推定

リスク因子の患者の数から計算した値が 248 各々の病期、GS、PSA値の患者の数からの計は 246 である。明らかに間違っている。どのような間違いをしたかを推定してみる。

1.Table 1 の数が間違っている。
高リスク因子をもつ患者の数が2人多いと 計 248となる。
例えば、PSA が20を超える患者が59人でなく、61人であった。この際、例えば、10〜20の患者は43から2減って 41人となる。

2.Table 1 の数はあっている。リスク因子をもつリスク因子をもつ患者の数が間違えている。以下の二つの場合が考えられる。

a. リスク因子3の人が22人ではなく21人 でリスク因子を1つもつ人が1人増えて61だとすると以下の計算で計 246 となる。
  1*61 + 2*61+ 3*21 = 246
b. リスク因子2の人が61人ではなく59人 でリスク因子を1つもつ人が2人増えて62 とすると以下の計算式で計 246 となる。
  1*62 + 2*59 + 3*22 = 246

いずれの場合が原因だとしてもデータの管理は杜撰としかいいようがない。

誤りをしっての感想他

滋賀医科大 岡本圭生氏の論文で私はこう書いた。
学生のレポートではないのだ。オープンアクセスジャーナルとはいえ、医学誌に書いた論文なのだ。上記のような単純な誤りがあるとはとても信じられない。論文本体がどうかという話になると私は思う。従って、論文の紹介をサイトに書いたり、掲示板へ投稿する気にはならなかった。
医学論文の修正についてでは先にみつけた二つの間違いはErratum を投稿することなく、「多分、放置の可能性が強い」と書いた。今回の間違いはどうだろうか。患者属性に関わることであり、結構重要なことであるので修正したほうがいいかと思う。
特にTable 1 が正しくてリスク因子の数による患者の数の内訳が間違っているとしたら、Abstractにも数値は書かれていてまた、結論の以下の文の証左のひとつともいえるから、やはり修正すべきと考える。(高リスク因子の多い患者の数が減る)
高リスクで非常にリスクの高い癌のPSA非再発率において優れた成果を示している。
Table 1 の値が間違っているとしたら、それはそれで、どのようなデータの管理をしているのかという話となる。

論文の最後のDisclosureにはこう書かれている。
Keisei Okamoto is associated with the Department of Brachytherapy for Prostate Cancer endowed by Nihon Medi-Physics Co., Ltd.
ブラウザ Google Chrome でのGoogle翻訳 (ただし名前、所属名は正確なものに変更)
岡本圭生氏は、日本メジフィジックス株式会社が提供する前立腺癌小線源治療学講座に勤務しています。
日本メジフィジックス株式会社の寄附講座の特任教授であるからこそ、論文は正確なものでなければならないと私は思う。

ブログ村に参加しています。クリックお願いします。
にほんブログ村 病気ブログ 前立腺がんへ
にほんブログ村

この記事へのコメント