先般、公益社団法人 日本アイソトープ協会の平成28年度の市民講座「知って解消!がんの放射線治療、不安とギモン」の青木氏の講演、『自分で選ぶ治療法 ~放射線治療とは~』の資料をよんだ。
先のPDFと同じもの、「前立腺がんの自然史」、「前立腺癌に対する線量と治療効果の関係」も掲載されていた。
読み進め、IMRTと小線源治療の説明の後、「IMRTと小線源の治療効果の比較」という表題があり、3つ図が載せられている。どこからの引用か明記されていないが、みたことのある図である。サイトでABSのタスクグループの報告と題して書いた文で紹介したBrachytherapy. 2017 Jan - Feb;16(1):1-12.で引用されている84 Morris W. Is ASCENDE-RT still pertinent? Is LDR-PB obsolete?(以降「プレゼン資料」とよぶ)に載っている図である。
最終的にはInt J Radiat Oncol Biol Phys. 2016 Nov 24.として論文にまとめられたものだ。これに関して学会発表の段階で外照射、小線源治療ランダム化比較試験と題して紹介している。
外照射と小線源のランダム化比較試験ということで、発表の際の言葉には全骨盤照射を実施した後、外照射のグループは以下のように書かれている。
32 Gy in 16# via a 2-phase, 3-d conformal techniqueプレゼン資料のsimplified schema には "3-DCRT"と書かれている。
すなわち、
3-DCRT:Three Dimensional (3D) Conformal Radiation Therapy
であり、三次元放射線治療(3D-CRT)なのであり、決してIMRTではない。
しかるに、青木氏は元の図の説明に書かれている"DE-EBRT ARM"を「IMRTを用いて治療した群」とどう考えても意図的に書いている。Morris氏が発表した 臨床試験、ASCENDE-RT Trial は小線源治療が外照射より優れていることを示したランダム化比較試験であるが、決して小線源とIMRTとを比較をしたものではない。
この間違いは市民講座であり、一般市民向けであるからこそ、医学部の教師としての見識を疑うものである。
と、まあ、このようなブログでいくら書いても仕方がないが、やはり市民講座といえ、どこからの引用か明記していないものは要注意だろう。
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