そこで、ロボット支援手術を受けたが一直線にPSAは上昇し、あくまでもそれは生検による再発を疑っているという投稿だった。それに対して再び反応し、昨日、「ロボット支援手術の東京医科大の論文(PSA再発予測)」と題して投稿した。この論文の筆頭著者は橋本剛氏である。
それはInt J Urol. 2015 Feb;22(2):188-93.、full textを紹介するものであり、手術後の4つの因子より3群に分け、PSA非再発率をみるものである。
full textのTable 3.よりlow-risk、intermediate-risk、high-risk のどの群に入るかにより、Figure 2. のように歴然とPSA非再発率が異なる結果となったということだ。
5年PSA非再発率
low-risk 89.4%
intermediate-risk 65.6%
high-risk 30.3%
Table 3. の 説明
PSAD : prostate-specific antigen density
術前のPSAレベルを、超音波検査によって測定した前立腺容積で割って計算したもの
Pathological Gleason score : 病理学的グリーソンスコア
PSM : positive surgical margin 断端陽性
Pathological T stage : 病理学的Tステージ
この4つの因子で術後のPSA再発が起きやすいかどうかが分かるのは東京医科大という一病院のデータに基づくものであるにしてもそのhigh-risk の治療成績がよくないことに驚く。
掲示板への投稿の最後にこう書いた。
手術の結果のデータによる解析なので、それがそのまま、高リスクでの手術適応の指針になるとは思えませんが、病期のアップグレードを考慮し、Table 3.を眺めるのもいいかなと思います。
と長い前置きの後、同じ頃にみつけていた東京医科大の濱田氏を筆頭筆者とする論文、「臨床的に局所化された高リスク前立腺癌における術前予測因子および生化学的再発のさらなる階層化」(Google翻訳)と題された論文の概要を紹介することとする。この論文は橋本論文と異なり、full text は有料なので、Table 3.のような詳細は分からないが、術前の予測因子が書かれているので、書くこととした。
2000年から2012年までの195人の高リスクの患者が対象であり、恥骨後式前立腺全摘除術で84人が治療され、ロボット支援手術で111人が治療された。
89人(45.6%)が再発
3年PSA非再発率 58%
5年PSA非再発率 50%
以下の2つの因子の値で3群に分けられた。
・PSAD
・PPC (percentage of positive cores)
なお、ここでのPPCは前立腺全体での陽性率のことではなく、右葉あるいは左葉のどちらかがんが多い方の陽性率である。PPC from the dominant side と記載されている。
5年PSA非再発率
1群 64.9 %
2群 48.1 %
3群 21.3 %
3群のPSA非再発率に驚く。誰も2割そこそこの値を期待して手術を受けたりはしないだろう。この群に入る人は手術しないほうがいいと思われる。
詳細を確認したい気はやまやまだが、37.75ユーロを払う気は毛頭ない。
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