全骨盤照射 ガイドライン 2016年版

全骨盤照射で『前立腺癌診療ガイドライン 2012年版』より引用した。2016年版でどうなっているかみてみる。P.136に以下のように書かれている。
CQ1 根治的X腺外照射での至適線量、分割方法、照射範囲はどのようなものか?
中間リスク〜高リスク症例に対して骨盤リンパ節領域に対する予防的照射(全骨盤照射)を画一的に行うことは推奨されない。 推奨グレードD
推奨グレードD 無効性あるいは害を示す科学的根拠があり、行わないよう勧められる。
P.137の解説には次のように書かれている。
骨盤リンパ節領域に対する予防的全骨盤照射は、高リスク症例を中心に慣例的に施行されてきたが、現在までに結果が報告されている3つのRCTのすべてにおいて、局所照射に対する全骨盤照射の治療成績改善効果は認められなかった。 1) したがって、現時点においては、中間〜高リスクの局所限局性前立腺癌に対して画一的に全骨盤照射を行うことは推奨されない。
参照されている論文はabstract ではほとんど情報がない。とはいっても有料のfull text を読む気はないので、どのようなRCTにより効果がないといっているのかは分からないが、推奨レベルDなので、実施しないことが勧められるということだろう。2012年版は全骨盤照射で引用した文に以下の記述が続く。
ただし,全骨盤照射の生存率への寄与は証明されていない。また,70Gyを超える局所高線量投与における全骨盤照射の意義は,後ろ向き研究ながら否定的な結果が報告されている。
70Gyを超える局所高線量照射においてRCTにより、全骨盤照射が勧められないということになったということだろう。

1) Radiother Oncol. 2014 Jan;110(1):45-54.

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