もちろん、「3年くらいまで普通にある」ということはいえない。ただ、論文でPSA バウンス有の場合は無しよりPSA非再発率において優位ということが書かれていて、バウンスのメカニズム含め、興味あるところではある。
サイトの記事の報告はここまでとする。
昨年、手術後の再発時の救済放射線療法 日米ガイドライン比較で日本のガイドライン 2012年版と米国NCCNの2014年 第2版を比較した。NCCN ガイドラインも2016年 第3版が翻訳され、また、前立腺癌 診療ガイドライン 2016年版で書いたように日本でも2016年版が2016年10月20日に刊行された。
NCCN ガイドラインをざっと読んだが、旧版と大きくは変わっていないようだ。
前立腺癌 診療ガイドライン 2016年版で手術後のPSA再発に対する救済放射線治療に関して、2016年版と2012年版と違いを示したが、推奨レベルに関しての指摘だった。今回、すべてを引用し、もう少し違いをみてみる。
2016年版 P.190
CQ2 根治的前立腺全摘除術後の再発に対し、救済放射線療法(SRT)は推奨されるか。
根治的前立腺全摘除術後の生化学的再発に対する救済放射線療法(SRT)は有効な治療選択肢であり、PSA<0.5 ng/mLでの開始が望ましい。 推奨グレード B2012年版
CQ9 前立腺全摘除術後のPSA再発症例には,どのような救済療法が勧められるか?
前立腺全摘除術後のPSA再発症例には,救済放射線療法または救済ホルモン療法が推奨される。 推奨グレード C1
救済放射線療法を行う場合は,PSA値0.5 ng/mL 未満の段階で治療を開始するのが望ましい。 推奨グレード C1
PSA倍加時間10カ月以内またはGleasonスコア8~10の再発症例に対しては,救済ホルモン療法が推奨される。 推奨グレード C1救済ホルモン療法(SHT)に関しては、2016年版では解説に次のように書かれている。
SHTは、PSADT≤10ヵ月、Gleasonスコア 8〜10といったSRTの有効性が期待しにくい場合の治療オプションとなる。また、SRTに関しては解説に以下のように書かれている。
後者(SRT)に関する比較試験としては、単一施設の後ろ向け解析において、SRTを受けた患者の癌特異的生存率はSRTを受けなかった患者よりも優れていたことが示されている 1)。NCCN ガイドライン 2016年版のMS-33では次のように書かれて同じ論文が参照されている。
生化学的再発時に遠隔転移の疑いがない患者は、経過観察を受けるか、初回救済 EBRT を単独または ADT との併用で受けることができる。EBRT には全生存率および前立腺癌特異的生存率の低下との関連がみられることから、この状況で EBRT を選択することの妥当性が大規模な後ろ向きコホート研究により裏付けられている。 1)、2)手術後の再発時の救済放射線療法 日米ガイドライン比較で私は次のように書いた。
個々の論文の詳細な検討をするつもりはないが、この比較でみると、NCCNガイドラインの基準のほうが妥当性があるかなと思う。日本のガイドラインがNCCN ガイドラインに近づいたといえる。
日本の2012年ガイドラインでは既に先にあげた2008年の論文に関し同じ文言の解説で紹介している。今回、推奨グレード Bになった理由はよく分からない。また、2012年版の「救済放射線療法または救済ホルモン療法が推奨される。」というガイドラインから2016年版では救済ホルモン療法が除かれたのかもよく分からない。
もう少し診療ガイドライン 2016年版を読もうと思う。
1) JAMA. 2008 Jun 18;299(23):2760-9.
2) Cancer. 2011 Sep 1;117(17):3925-32
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