それを少し修正、加筆して久々に腺友ネット:掲示板の論文・詳細スレッドに同じ表題、トリモダリティ考で昨日投稿した。
念のために"トリモダリティ"で再検索したら上記のサイトの「トリモダリティ考」が3日も経たないのに検索結果のTOPページにきた。検索アルゴリズムはよく分からない。
できるだけ分かりやすくサイト記事を再構成したので、読んでもらえばわかるかと思うが、掲示板で明記しなかったことをここで書いておく。
サイトでカタカナの「トリモダリティ」を独自に使用
trimodality という言葉は医学用語としてはよく使われているかどうかは分からないが、使われている言葉であり、それを独自に定義し、優秀な治療法という含意をもたせてサイトで使用しているのは大学病院、独立行政法人国立病院機構の病院では滋賀医科大学だけだということだ。サイトでの定義を再掲する。
高リスク前立腺癌に対してホルモン治療を短期におこないながら小線源治療と外部照射併用による超高線量照射(高リスク癌に対するこの治療をトリモダリティと呼んでいます)どこが独自かというとトリモダリティ治療は前立腺癌 診療ガイドライン 2016年版での表現に従えば、「永久挿入密封小線源療法と外照射とホルモン療法の3者併用療法」ということで、3者併用療法ということしか意味はないのである。
「ホルモン治療を短期におこないながら」、「超高線量照射」はマウントサイナイメディカルセンタの治療法の話である 1) 。 その後に引用した次の文がやられている治療法を自賛し、トリモダリティに優秀な治療法という意味を付している。
われわれ小線源治療チームはマウントサイナイメディカルセンタで始められたリアルタイムインプラントを高精度でおこなうため独自の治療プログラムを編み出し、これにより他施設より圧倒的に高い線量の放射線を副作用なくあてる経験と技術を有しています。ネットでの拡散という言葉を使用したが、例えば、小線源手術の詳細では同じ文が引用され、O先生を「スーパードクター」とよんでいる。
さらに掲示板の2014年1月4日の投稿では初診時のみたてを以下のように書いている。
O先生の見立てでは高リスク前立腺癌であるが、転移さえなければトリモダリティ治療(短期のホルモン療法に小線源と外部照射を組み合わせた超高線量放射線治療のこと)により高い確率で完治が得られるとのことでした。さらに投稿した頃、「あと100年生きてもまず再発はないはず」といわれた書いている。
ホルモン治療の期間
掲示板投稿の際、追加した引用文は金沢大学の小中弘之、並木幹夫の論文、併用療法の意義と効果(PDF)Japanese Journal of Endourology(2013)26:200-209より以下の文だ。これまで散見されている小線源療法と外照射併用のバイモダリティ療法,あるいは小線源療法と外照射併用にホルモン療法を加えたトリモダリティ療法の報告はあくまでもレトロスペクティブな研究としてまとめられたものであり,その結果について十分な検証がなされているとは言い難い.このことについて藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その7で書いたようにTRIP試験が実施されている。
TRIP試験(第2報)をみてみた。First Authorは小中弘之氏であり、Last Author は並木幹夫 氏である。
TRIP試験は長期アジュバントホルモン治療を24カ月間受ける場合とアジュバントホルモンアジュバントホルモン無しにランダム化され比較するものである。すなわちレトロスペクティブな研究ではない。先の小中・並木論文には次のように書かれている。
既に症例のエントリー期間は終了しており,今後の成熟した解析結果が大いに待たれるところである.しかし、TRIP試験登録病院で書いたように滋賀医科大はTRIP試験に参加はしていたが、適格登録数は0である。
上記のようにトリモダリティを「ホルモン治療を短期におこないながら」と定義し、実際に実績があがっているので、「スーパードクター」は症例登録をしなかったと思われる。 2)
終わりに
ブログ、Web、掲示板、さらに当ブログ記事で「トリモダリティ」に関して縷々書いてきた。それは掲示板などで感じた「トリモダリティ」という言葉に感じる違和感というか居心地の悪さの原因が分かったことはいいことだった。単なる3者併用療法ではないのだ。優秀な治療法であり、それを選んだ私は賢い患者であるという私からみるとあまり根拠のない優越感に基づく発言に対する反発だったのだ。それは特定のサイト 3) における言説によるものであり、ネット上に拡散しているに過ぎないのだ。
1) ハイリスク症例に対する密封小線源療法の可能性 前立腺がんの小線源療法 日本メジフィジックス株式会社の米国Mount Sinai大学のDr. Stone 氏の話を参照のこと。
2) 東京医療センターはTRIP試験登録病院で示したように27人の症例登録がある。東京医療センターにおいては外照射後はホルモン治療をやめるやり方で治療を行っていたが、それでも臨床試験に参加し、症例登録を行っている。
斉藤 史郎 他 泌尿器外科 2016年 29(臨増), 733〜735にこう書かれている。
最近では高リスク症例に対しては治療 3 ヵ月前から外照射が終了するまでの約 6 ヵ月間,MAB(LH-RH アゴニストかアンタゴニストと抗アンドロゲン剤の併用)を実施している。多施設共同研究への登録症例を除き,治療前にホルモン療法を実施していた症例も治療後は全て終了している。3) 前立腺癌小線源治療学講座については滋賀医科大学の寄付講座を参照のこと。
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