それは「高リスク前立腺癌への適応と問題点」と題された記事であり、著者は滋賀医科大学 前立腺癌小線源治療講座の岡本圭生氏である。
記事の構成
1. 本文 と結論 1.25 ページ2.図1 高リスク前立腺癌の治療法別非再発率 0.5 ページ
3.図2 精嚢浸潤:骨盤内リンパ節転移に対する治療例 1 ページ
4.文献 0.5 ページ
....計 3.5 ページ (内 表題部 0.25ページ)
図の概要
1. 図1トリモダリティという単語で示した高リスク前立腺がんの治療法別成績【1】のページの図である。
論文、 Grimm P et al. BJU Int. 2012 Feb;109 Suppl 1:22-9.の図を改変したものだ。
なお、Prostate Cancer Results Study Groupのデータに関しては欧米の主要な施設のデータで紹介した。
2. 図2
68歳のGS 4+4、PSA 65 T3bN1M0 の患者の画像、PSA推移の図が治療例として載せられたものである。
治療終了後4年経過で現在 PSA = 0.02ng/mL の説明あり
本文
滋賀医科大の治療に関しては以下のように書かれている。我々の施設では高リスク症例に対してマウントサイナイメディカルセンターのレジメに従って小線源治療前に3-6カ月、小線源治療後6カ月のホルモン治療を行いながら小線源+外照射でBED>220Gy を担保した治療(トリモダリティ治療)を行っている。
我々の施設において治療終了後2年以上経過した高リスク前立腺癌症例は142例(経過観察の最長10年)であるが、現在PSA再発は5例で全例が遠隔転移による再発である。さらなる長期の経過観察と症例の蓄積が必要ではあるが、現在のところ局所再発はなく局所コントロールという点では満足する結果が得られている。
結論
以下のように書かれている。転移病巣がなければ高リスク前立腺癌であっても根治は十分可能であり、局所再発を起こさせない治療を行っていくべきである。小線源治療を用いたトリモダリティ療法は、高線量照射による高い局所コントロールが可能な高リスク前立腺癌の、有効なモダリティといえる。
記事を読んで
雑誌、「日本臨牀」に関しては案内のページで次のように説明されている。編集方針医学論文を掲載する雑誌ではないといえる。
1. 創刊号以来の「方針」及び「精神」として実地医家、臨床医に役立つ最新情報を基礎から臨床まで網羅的に編集しております。
2. テーマの設定・編集にあたっては数人のドクターのアドバイスを受けて当社にて細目を決め、テーマに基づく各項目について執筆依頼を行っております。
したがって当社では投稿の掲載は行っておりません。
医学論文ではないので詳細な情報を書くことは求められていないが、記事の構成で書いたように半ページの空白ページがあるので、以下の情報等があったらよかったと思った。
1.カプランマイヤー法によるPSA非再発率
・5年PSA非再発率、7年PSA非再発率
同様にがん特異生存率、全生存率
2. 有害事象の報告
3.観察期間の中央値
4.患者の内訳
PSA値の範囲毎の人数、病期毎の人数、GSの分布
なお、有害事象に関しては第99回日本泌尿器科学会総会(名古屋). 2011.4.での発表では述べられている。この時点では63例であったが、142例となって割合、増えたのか減ったのか興味のあるところではある。
本文に以下のように書かれている。
精嚢浸潤が認められる症例について我々は、適宜精嚢上壁にもシードインプラントを行うことにより、T3b症例についても局所コントロール100%を目指して治療している。PSA再発した患者はT3b症例だったかどうか分からない。
PSA再発した患者は画像上はどうなっていたのか、大いに関心のあるところだ。
いずれにしろ、ピア・レビュー(査読)付きジャーナルに掲載された論文をはやく読みたいという希望は従来よりもっているが、「日本臨牀」の記事ではとても満足できない。
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この記事へのコメント
Gettingbetters
なる講演会が開催されるようです。岡本氏も講演予定。
参加資格は、医師しかだめなのでしょうね。
石葉
内容として私がしりたいと思って記したことは発表されるでしょうか。
なお、参加者の職種としてその他がありますが、医療関係者のみ参加ということでしょう。