菅野完『日本会議の研究』

菅野完『日本会議の研究』扶桑社を読む。
日本会議という言葉がなにかその響きより隠然たる組織を想起する。

菅野さんはその隠されたものの歴史と構造を明らかにした。

P.219の図表19は明確に示す。本書のみがお伝えしている内容とメジャーメディアの報道内容に区分している。

七十年安保で生まれた「生長の家学生運動」の闘士たち
椛島有三グループ---日本青年協議会---日本会議
伊藤哲夫グループ---日本政策研究センター

さらに「運動全体を見渡す立場にいる人物」として安東巌をあげている。

P.221の稲田朋美が谷口雅春の『生命の實相』を掲げているyoutubeよりキャプチャーした画像は興味深かった。
それは稲田朋美講話ダイジェストの中で祖母の本を示すものだ。

「むすびにかえて」と題されたP.297に書かれていることは極めてシニカルな認識だ。
市民運動が嘲笑の対象とさえなった80年代以降の日本において、めげずに、愚直に、市民運動の王道を歩んできた人々だ。その地道な市民活動が今、「改憲」という結実を迎えようとしている。彼らが奉じる改憲プランは、「緊急事態条項」しかり「家族保護条項」しかり、おおよそ民主的とも近代的とも呼べる代物ではない。むしろ本音には「明治憲法復元」を隠した、古色蒼然たるものだ。しかし彼らの手法は間違いなく、民主的だ。

デモ・陳情・署名・抗議集会・勉強会といった「民主的な市民運動」をやり続けていたのは、極めて非民主的な思想を持つ人々だったのだ。
youtube
「日本会議の研究」の著者・菅野完氏 記者会見 日本外国特派員協会

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