東大、筑波大の博士論文

検索して以下の二人の博士論文をみいだした。概要を書く。

1.東京大学 山本健太郎氏
2.筑波大学 木村友和氏

1.の表題は以下のとおり
「コーンビームCTによる画像誘導放射線治療を併用した前立腺癌に対する強度変調回転照射の検討」

対象は、2008年8月から2013年3月までに当院でVMATで治療し、1年以上経過観察を実施した一連の前立腺癌患者287名

高リスク 134人

5年PSA非再発率
低リスク  100%
中間リスク 97.2%
高リスク  90.0%

VMATで少しvolumetric modulated arc therapyについて書いた。
東大病院は良好な治療結果といえる。

照射時間に関しては次のように書いている。
照射時間も2分以内と短時間であり、良好な線量分布が実現できている。
更に線量に関しては以下の記述。
処方線量は、1回線量2 Gyで週5回、計38回 76 Gyで治療した。

2.の表題は以下のとおり
前立腺癌に対して初期アンドロゲン除去療法を行われた症例の大規模データベースによる研究

以下の二つの研究の結果が記述されている。
研究1-TNM 第7 版Prognostic Grouping の検討
研究2-Stage IV 若年性前立腺癌症例の予後解析

研究1に関して少し読んでみた。
日米ホルモン治療の効果比較で示したJ-Capのデータを用いた研究である。PrognosticGrouping;PG に関してはTable 1 に示され、以下のように書かれている。
2010 年のTNM第7 版の改訂に伴い、PSA とGleason score を含めた予後分類(PrognosticGrouping;PG) が新たに提唱された。

J-Capのデータの中、15259 人が対象である。全員PADT; Primary ADT、初期アンドロゲン除去療法 が行われたものである。

解析した結果、以下のようにPGは必ずしも予後予測において十分でないことが分かったという。
PADT が行われた15000 例超の層別解析によって、同じPG に分類されたとしてもPSA やGleason score によって不均一な予後を持つ患者集団であることを明らかにした。具体的には、限局癌のIIB であっても局所進行癌のIII に近い予後を示す予後不良群と、ADT によく反応するI やIIA と同等である予後良好群が認められた。また病期IV 症例では5 年生存率で50%程度の予後不良群とADT 反応性が高く5 年生存率でも約70%以上が期待できる予後良好群が混在していた。
これに対し、層別解析の結果をもとに修正予後分類(modified Prognostic Grouping;mPG)を行ったという研究である。mPG はTable 6 に示されている。
Figure 5 modified Prognostic Grouping による生存解析をみると5年 OS、CSS、PFS とも明らかにD群が極端に悪い。

Overall survival (OS)
Cause specific survival (CSS)
Progression-free survival (PFS)

以下の文で終わっている。
本研究はADT という均一な治療法による15000 例を超える実地臨床のデータベースから導き出されたアウトカムであり、日常臨床に十分応用可能な知見である。

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この記事へのコメント

  • Gettingbetters

    私が現在実施している治療も、IGRT,VMAT形式です。
    実際、台にのってから終了まで7分程度です。
    放射部分が連続回転であり、一度も停止することはありません。
    2016年11月05日 18:27
  • 石葉

    山本論文では照射時間は2分以内ということなので7分程度というのは少し長いですね。
    といっても実質の照射時間は数分なのかもしれませんが。
    2016年11月06日 18:38
  • gettingbetters

    照射自体は2回転なんで2分未満です。
    位置決めと台の乗り降りが五分です。
    2016年11月06日 20:15