『前立腺癌取扱い規約』を県立図書館より借り出した理由はサイトの記事に書いた。たわいない好奇心である。
この記事の中でP.66に書かれているGleason 分類図 を紹介した。この図はどの論文の図からの引用かということも書いた。その図で特異的なのは図の右下にサインがしてあることだ。
「前立腺がんガイドブック」グリーソンスコア(GS)に載せられているGleason 分類図 をみてみる。同じサインだ。前立腺がんガイドブックはtopページに『前立腺癌取扱い規約』の写真を掲載している。この本を参考にしたことはうかがえるが、どこからの引用からを明示しないでそのまま写真を載せるのは如何なものかと思う。
さらに「表記例」としてあげられている以下の記述
#2 3 + 4 = 7, 占拠率40%(or 腫瘍長10mm)
はP.72の「例:12本の針生検を行い、#1、#2、#6に癌が検出された場合」の以下の表記の一部を引用したものと思われる。
#2:Gleason score 3+4=7, 占拠率40%(あるいは腫瘍長10mm), 非連続進展少し文言を変えているのはご愛敬だ。
「前立腺がんガイドブック」は医療情報ではなく、患者の勉強ノートといったものとみなせば、目くじらたてるものでないかもしれないが、名前が「ガイドブック」というのが何度も書くがちと問題である。
ただ、「ガイドブック」に書かれている以下の説明は不十分である。
前立腺がんの性質を臨床上簡便に把握する方法として、1966年、グリーソン(Dr.Gleason:米国)によって考案されたのが グリーソンスコア(GS)です。サイトに引用した「前立腺癌を組織学的形態と浸潤増殖様式から1〜5のパターンに分類したものをその基本とし」という文の「浸潤増殖様式」から分類されたということが抜けている。構造異型という言葉では組織学的形態しか示さないと判断される可能性があるということだ。増殖のパターンが分類の重要な要素であることが分かりにくい表現である。そのまま引用すればいいのに、例によって「患者の為のガイドブック」ということでの表現だろうか。
顕微鏡下でがん細胞の顔つき(構造異型)を判断し、悪性度(1~5、数字が大きいほど悪性)を判断しています。
グリーソン分類 - Wikipediaでは次のように書かれている。
グリーソン分類では腫瘍細胞の分化度、細胞異型を考慮せず、浸潤パターンや構造異型のみに着目して前立腺癌の形態をパターン1-5の5段階に階層化する。掲示板の投稿者:ひげの父さん 投稿日:2013年7月22日にこう書かれている。
モノクロのグラジュエーションを見せられて、それを白と黒に分けろと言われれば、かなり悩むと思うのですが、病理判定というのはおよそこのようなものだと思うのです。もちろん、表記例は「ガイドブック」からのものである。
それを「無理やり」5つのパターンに分類し、どれに該当するかを判定するのは、臨床医には無理で、顕微鏡で細胞の形を見慣れている病理医の仕事ということになります。
本来のグリーソンスコアは、腫瘍が検出されたサンプルの番号すべてについて、次のように表記されます。
番号 第一パターン 第二パターン GS
#2 3 + 4 = 7, 占拠率40%(or 腫瘍長10mm)
ブログ村に参加しています。クリックお願いします。

にほんブログ村
この記事へのコメント