高野氏は虎の門病院の臨床腫瘍科の部長である。
P.148〜149に「エビデンスにも格付けがある」と題して、エビデンスレベルに関して分りやすく説明している。以下のように書きながらの記述ではあるが。
実際の格付け(エビデンスレベル)は、もう少し細かく決められているのですが、ここでは、ある程度簡略化して説明することをご容赦ください。これはエビデンスで紹介した勝俣氏の「専門的にいうとこんな感じになる」という説明より簡略化されたものだ。少し長くなるが引用する。
「エビデンス」というのは「臨床試験の結果」のことで、「意思決定の根拠となるもの」であり、「その信頼度の基準が決まっているもの」です。さらにP.151に以下のように書いている。
レストランを、「星なし」「1つ星」「2つ星」「3つ星」という星の数で格付けするするガイドブック(ミシュランガイド)は有名ですが、エビデンスにも、格付けがあります。ミシュランミシュランガイドの判定基準はベールに包まれていますが、エビデンスの判定基準は明快で、覆面調査員でなくとも、誰でも判定できます。
3つ星エビデンス・・・・ランダム化比較試験
2つ星エビデンス・・・・・ランダム化比較試験以外の臨床試験
1つ星エビデンス・・・・・観察研究
星なし・・・・専門家の意見、動物実験、試験管実験など
「3つ星エビデンス」がなければ、標準治療にならず、新薬として承認されることもないということです。実際に近藤理論を信じて悪影響があった患者の例を仔細には報告していないが、近藤誠氏の特に問題のある点として以下の3点をP.211であげている。
この事実を考えれば「3つ星エビデンス」にもっと関心が高まってもいいと思うのですが、マスメディアが主に取り上げるのは、「星なし」の「専門家の意見」や「動物実験・試験管実験」であったり、「1つ星エビデンス」の「症例報告」であったりします。
(1)「抗がん剤は絶対ダメ」と主張するだけで思考停止している。「がん放置療法」というより「がん患者放置療法」といい、あまりに無責任と断じる。
(2)EBMのルールを無視し、エビデンスを偽装している。
(3)がん患者を放置している。
勝俣氏といい、腫瘍内科医が真摯に近藤氏に対峙するのはいいことだと思う。
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