・初期の前立腺がん 治療の有無で生存率にほぼ差なし
さらに、Googleで"Oxford prostate survival treatment"という検索語で以下の2つの記事に辿りついた。
・Almost all men with early prostate cancer survive 10 years, regardless of treatment
・Treatments for prostate cancer: Active monitoring as effective as surgery over 10 years
実際には The Washington Post の記事を読み、The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE の論文にたどりついたが、上記の検索語でもtopページにリンクされている。
元の医学誌のアドレスではなく、PubMedのアドレスで示す。
・N Engl J Med. 2016 Sep 14.
この論文に関しては私のサイト、治療法による結果(10年フォローアップ)で概要を紹介した。
肝心なことは3療法を500人以上の患者数でランダムに割り当てたランダム化比較試験の結果ということだ。
結論部を私訳で示す。
10年の中央値では、前立腺がん特異的死亡率は割り当てられた治療処理間に有意な差はなかった。手術、放射線療法はアクティブな監視に比べ、より低い疾患進行の発生、転移と関連していた。
アクティブな監視が一等疾患進行があるというのは理解できるが、転移に関しても手術、放射線よりも統計的に進んだという結果は予想されたこととはいえ、10年では死亡率に関して差がなかったとしも、十五年たつとどうなるか分からないとごく素直に思ってしまう。
NHKの記事ではRCTの結果であること、「手術と放射線は転移と疾患進行のリスクを低下させる」ということは述べられていない。
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この記事へのコメント
kawano
初歩的な質問で申し訳ないのですが
アクティブな監視というのは
意味がわからず
PSA検査をして経過観察し続けるという意味でとらえましたが
間違いでしょうか?
石葉
この論文ではactive monitoring と書かれていますので、あえてアクティブな監視と訳しました。
本文(full text)中で、“watchful waiting” と違うものだと書かれています。
過剰なラジカルな治療は避けつつ、PSAの変化に対応するもののようです。
最初の一年は3ヵ月に1回PSA検査、それ以降は6〜12ヵ月毎に検査ということのようです。
ちなみにNCCNガイドラインでのactive surveillance は以下のように定義されています。
・臨床的に適応がない限り、6ヵ月以上の間隔でPSA検査
・臨床的に適応がない限り、12ヵ月以上の間隔でDRE
・臨床的に適応がない限り、12ヵ月以上の間隔で前立腺再生検
監視に割り当てられた人が不利益を被らないように頻繁にPSA検査をし即、治療開始できるようにしているのかと思います。
ランダム化比較試験で治療法を比較した結果がでたの画期的だと思います。
kawano
石葉
以下に記す詳細なことはブログにもサイトにも煩雑になるので記載していません。
全員が割り当てられた治療を実施したわけではないです。
full text
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1606220
のfigure 1 にその詳細が記載されています。
フォローアップできなかった人は計14人ということも書かれています。
手術、放射線に割り当てられても監視療法を選んだ人がfigure 1 より以下の人数
存在します。
553人中 95人
545人中 75人
さらにfigure 2 をみると監視療法グループも10年たつと6割は根治治療を行って
います。
最終的にはfigure 2 より手術、放射線に割り当てられて10年たって、根治治療
に進まなかった患者は全体として1割ほどいるということです。
figure 2はカプラン・マイヤー法によるものなので、実際に全員が10年たって、その
1割が根治治療に進まなかったというわけではないです。
同様に監視療法グループの根治治療に進んだ人の6割も同じことです。