「前立腺がんガイドブック」について 断端陽性の版数毎の記述

「前立腺がんガイドブック」の断端陽性に関する記述の誤りを指摘する契機となった川野さんのブログ再発の可能性のコメント欄に今回の掲示板への投稿により、修正されたことを報告した。ブログ、この投稿のコメント欄の記述より改めて、前後の文を含め「前立腺がんガイドブック」の断端陽性に関する記述を整理し、掲示板に追記の形で投稿した。

追記の形にしたのは、もちろん、三島の小説の一節を引用し、掲示板への決別としたので、今さら、新規に投稿も何だかなあという気分が一番の理由だが、今さら、新規なトピックでの問題提起も仕方がないという気がしたのも事実だ。

改めて、その版数毎の推移をみるとまともに正確な医療情報を提供しようと思っているのか疑問になる。

「前立腺がんガイドブック」の該当箇所の初版及び改訂版の公開日付は分かりませんが、プロフィール及び、前立腺がんガイドブック はじめにによると初版は2005年、改訂は2012年とのことだ。

なお初版のtopには以下のように書かれている。
最新版「前立腺がんガイドブック」は必ず「腺友ネット」からご覧ください。
このサイトの情報更新は現在行っておりません
版数と日付を示し、断端陽性の記述を含め記載内容を以下に書く。

1.0 2005年
全摘除術後に再発した前立腺がん
全摘除術の後で、手術標本が断端陽性(がんが外科手術によって完全に除去しきれなかった証拠)を示す場合、 PSAが下がり切らなかった場合、あるいは、一旦下がった後にPSAが再上昇したような場合などで、 身体の他の部位にはがんが散らばっていないという予測が成立する場合は放射線治療をお勧めします。
1.1 2012年
全摘除術後に再発した前立腺がん
全摘除術の後で次のようなケースが生じた場合には再発とみなされます。
(1)手術時に採取した標本が断端陽性を示した場合(取り残しがあった証拠)
(2)PSAが下がり切らなかった場合(普通なら0.01以下になるはず)
(3)一旦下がった後にPSAが再び上昇し0.2を超えた場合
2.0 2015年2月
全摘除術後に再発した前立腺がん
全摘除術の後で次のようなケースが生じた場合には再発とみなされます。
(1)PSAが下がり切らなかった場合(普通なら0.01以下になるはず)
(2)一旦下がった後にPSAが再び上昇し0.2を超えた場合
手術時に採取した標本が断端陽性を示した場合(取り残しがあった証拠)には、概ね、いずれ再発に至ることが予測されます。
3.0 2016年8月
全摘除術後に再発した前立腺がん
全摘除術の後で次のようなケースが生じた場合には再発とみなされます。
(1)PSAが下がり切らなかった場合(普通なら0.01以下になるはず)
(2)一旦下がった後にPSAが再び上昇し0.2を超えた場合
手術時に採取した標本が断端陽性を示した場合には、がん細胞を取り切れていないことを意味しますが、経過観察を続けても、 PSAがさほど上昇せず、一定の値で安定することも珍しくないので、 これがそのまま再発に結びつくと考える必要はありませんが、それなりに慎重な対応が必要だと思われます。


改訂についての補足
1.1 箇条書きに修正 内容は同じで表現上の修正だと思われる。
2.0 2014年9月の講演会でのひげの父さんこと武内務氏(以下T氏とよぶ)の発言、「断端陽性はほぼ、ニアリー イコールで再発」と1.1の(1)とが矛盾するという私の指摘に対応
3.0 黒岩顕太郎他の論文に基づき、2.0の記述は正しくないという私の指摘による改訂


1.0〜1.1に関しては10年近く誤りの記述が公開されてきた。
断端陽性だと泌尿器科の主治医に告げられたときに、「前立腺がんガイドブック」の情報より、「先生、再発ですね。放射線治療を希望します」といったら、目を白黒されるだろう。

2.0の修正の契機としてひげの父さんに「断端陽性はほぼ、ニアリー イコールで再発」のエビデンスを求めても「断端陽性ならば再発」というエビデンスを求めたりはしなかった。それはもちろん、T氏のいう「断端陽性で、ホルモン療法をしなくとも、PSAが一定値以上は上がらない状態が継続することもあるというのは、専門医の間では、ほぼ常識だと思います」ということを私も了知していたからだ。

専門医の常識に反することが10年近くWebに公開され続け、更に2.0の修正がなされても誤りは継続し、計約11年、誤りの情報の公開が続いた。T氏は2016年8月23日の投稿で以下のようにいっている。
「概ね、いずれ再発に至ることが予測されます。」という表現は、もっと早く修正しておくべきでした。
このことは2.0に関することであり、1.0及び1.1に関してはまったく念頭にない。10年近く、間違いの情報を掲載し続けたことに対する悔悟の気持ちはまったくといってない。1年半、間違いを公開し続けたのを「もっと早く修正すべき」といっているにしか過ぎない。

2016年8月23日の投稿における修正文言の報告の投稿において、その他にも間違いがないか確認しますといった言は一切ない。間違いを1件指摘されたら、それ以外の間違いを自主的に探すといった仕事の仕方はしてこなかったようだ。建築の意匠設計がT氏の仕事だったようなので、そういったことはなかったのだろう。


1.0に関しては「腺友ネット」の腺友ネットと科学的根拠に以下のように書かれている。
このサイトの最も主要な記事は「前立腺がんガイドブック」ですが、 これは世界的なガイドラインと言われているNCCNや、我国の「前立腺がん診療ガイドライン」など いわゆるエビデンス(科学的根拠)の高い情報に基づいており、さらに疑問点は複数の専門医のご意見も交えながら作成しているので、 明白な間違いはないと信じていますが、
1.1の改訂に関しては前立腺がんガイドブック はじめにに以下のように書かれている。
2012年、これを「腺友ネット」に引き継ぐにあたり、改めて全体を見直すと共に、 専門医(泌尿器科医、放射線治療医)にもご協力をお願いし、ご指摘いただいた内容を踏まえて、若干の改訂を行いました。
専門医はどのような確認を行ったのだろうか。専門医の間での常識に反することを2度にもわたり、見過ごしている。その確認のレベルが疑われる。もっとも監修者の名前は書かれていないので、それはある程度仕方がないことであり、その程度の確認だったということだ。

私が最初に「前立腺がんガイドブック」をみたのはまだ、がんと確定される前だった。素人にしては随分、詳しく書いているなあという率直な感想だった。しかし、その時点で私はエビデンスレベルに関しての知識もない状態であったが、「ああ、個人サイトだな、内容、そう信用してはいけないな」と思い、距離をおいてのアクセスだった。

川野さんの再発の可能性に関する私の最初のコメントは以下のとおりだ。
「全摘除術後に再発した前立腺がん」は「前立腺がんガイドブック」と題された文の一部です。筆者はひげの父さんこと、武内務氏で「ガイドブック」と称していますが、あくまでも個人の見解を述べたものです。
医学的な正確性を保証するものはなんらありません。
川野さんはご自身のブログのコメン欄を使って、私の修正報告に対して以下のように書いている。
医者の免許や資格をもたないものが、「前立腺ガイドブック」という名称で公開する事自体問題ですね。まぎらわしいです。

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