断端陽性の場合のPSA非再発率

「前立腺がんガイドブック」について 断端陽性でひげの父さんこと武内務氏(以下T氏と書く)の講演会、あるいは「前立腺がんガイドブック」での断端陽性の場合のPSA再発に関する言辞が疑問だと書いた。
すなわち、このような表現だ。
断端陽性ならば、ニアリー イコール再発
断端陽性を示した場合(取り残しがあった証拠)には、概ね、いずれ再発に至ることが予測されます。

PSA非再発率の設定

「ニアリー イコール再発」、あるいは「概ね、いずれ再発に至ることが予測」という曖昧な記述のままではそれが正しいか分からないのでPSA再発率を推定する。

すい臓がんは予後はよくないといわれている。全がん協加盟施設の生存率協同調査 / 全がん協生存率をみてみる。ステージIVの5年相対生存率は1.6%である。このことより断端陽性の場合の5年PSA非再発率を2%とすることはきつめの推定として妥当かと思う。

断端陽性のPSA非再発率の掲載された論文

私は本件に関連して掲示板、サイトで断端陽性の場合のPSA非再発率を論文を示して提示してきた。それをまとめて記す。数値が明記されていない場合はグラフからみた値を記す。その場合は注記する。

1. J Urol. 2010 Jan;183(1):145-50.
 断端陽性での予後予測で紹介

非再発率は以下のとおり。 断端陽性は PSM+ 陰性は PSM- と記す。

・低リスク  PSM- 99.6% PSM+ 94.9%
・中間リスク PSM- 93.5% PSM+ 83%
・高リスク  PSM- 78.5% PSM+ 57.1%

full text は有料だから、何年PSA非再発率か分からないが、高リスクを除いて断端陽性が極端に再発率がよくないということはない。まして、2%などであるはずはない。

2.川島清隆 根治性向上を目指した解剖学的拡大手術の可能性について 泌尿器外科 2011年 24(2). 141 〜 P.147
 手術の論文で紹介

5年PSA非再発率 (グラフで確認)
pT3a PSM- 85%
pT3a PSM+ 70%

断端陽性のPSA非再発率が2%であるはずはない。

3.腹腔鏡下前立腺全摘除術における切除断端陽性率と予後の検討 Japanese Journal of Endourology Vol. 24 (2011) No. 1 p. 40-43
 掲示板、2015年2月11日09時28分2秒の私の投稿で提示

5年PSA非再発率 (グラフで確認)
pT2a PSM- 90%
pT2a PSM+ 80%

pT3a PSM- 60%
pT3a PSM+ 55%

pT2aに関しては70ヶ月を過ぎると断端陽性、断端陰性とも同じ値になっている。

断端陽性のPSA非再発率、2%とかけ離れた値だ。

この大きく断端陽性と陰性がPSA非再発率が異ならないことをT氏はどのように説明するのだろうか。だから、私の質問、「断端陽性、ほぼ、ニアリー イコールですけど、再発ですよね」という発言を裏付ける論文、学会発表を提示することはできなかったのだ。
この論文の表題は「断端陽性率と予後の検討」である。既にひとつは該当テーマの論文はあったのだ。

T氏は回答した015年2月11日11時33分48秒の投稿で「このことだけに触れた論文があるかどうかどうかは知りませんが」と書き、2015年2月12日)02時34分16秒のT氏の投稿で「論文をきちんと読めばわかるだろうとのことですが、急いでいる時は、申し訳ないのですが、引用論文の中身までは詳しく見ないことも多いので、本文を追うだけで要点が判るように表記していただけると助かります。」と先の質問で私の書き方が悪いと難癖をつけ、論文を読んでないことを主張したのだ。論文を読んだとすると断端陽性だけに触れた論文があるということを知っていることになるからだ。

こう書いた方がよかったのだろうか。「提示した論文の表題は「断端陽性率と予後の検討」となっていてこの論文では「「断端陽性、ほぼ、ニアリー イコール再発」となっていませんが、「断端陽性、ほぼ、ニアリー イコール再発」を裏付ける論文を教えてください」

しかし、このような形に明確にして質問してもそういった論文はあるはずはない。あれば、即提示できたはずである。
エビデンスのないことで「ガイドブック」が記述されていることが分かったといえる。

断端陽性の再発率...泌尿器科医の常識

前立腺がんに対する手術療法で栃木県立がんセンターの川島清隆氏は次のようにいっている。
断端陽性の場合、再発はその50%くらいといわれています。
このことが泌尿器科医の常識なのかもしれない。
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この記事へのコメント

  • サラリーマン

    やはり情報の真偽は自己責任で判断するべきでしょうね
    公式なものであれば 生命に関わるので 発信側にも責任が生じるでしょう
    文献でさえ慎重に扱うべきかもしれません。
    2016年08月20日 18:51